2025年ASCO泌尿生殖器がんシンポジウムで発表されたダナファーバー演題

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、2025年2月13日から15日までカリフォルニア州サンフランシスコで開催される2025 ASCO泌尿生殖器(GU)がんシンポジウムで重要な研究成果を発表する。ASCO GUシンポジウムは、世界的なGUがん治療に関する主要な専門研究および教育会議である。 

ダナファーバーが主導する研究は、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がんにおける革新的で学際的な専門知識を示すものであり、新しい治療法や予測バイオマーカーを調査する研究も含まれている。
 
ダナファーバーの専門家が発表または主導した研究の注目すべき口頭発表には、次のものがある。

第1相試験で新規低酸素誘導因子HIF)-2α阻害剤の高い忍容性と有望な臨床活性が示される
 
新規HIF-2α阻害剤であるcasdatifan[カスダティファン]は、第1相試験ARC-20において、濃厚な前治療を受けた淡明細胞腎細胞がん(ccRCC)患者において忍容性が良好で、有望な早期臨床活性を示した。Toni K. Choueiri医師が率いる研究者らは、抗PD-(L)1チェックポイント阻害剤と抗血管新生療法による治療を受けたが、抗HIF-2α阻害剤による治療を受けたことのないccRCC成人患者を対象に、カスダティファンを評価する第1相オープンラベル試験を開始した。HIF-2αはccRCCに蓄積し、がんの増殖を促進する経路をアップレギュレーションすることが知られている。カスダティファンは経口薬であり、HIF-2αが依存する遺伝子の転写を阻害することによってHIF-2αの生成を阻害する。研究チームは、複数の投与量に関する安全性、有効性、およびサブグループ分析を発表する予定である。
 
この研究はArcus Biosciences社の資金提供を受けて実施された。

タイトル:既治療の淡明細胞腎細胞がん患者に対するカスダティファン単独療法:第1相オープンラベル試験ARC-20における複数の用量での安全性、有効性、サブグループ分析
アブストラクト:441
発表者:Toni K. Choueiri医師
セッション:速報口頭アブストラクトセッションC:腎細胞がんおよび陰茎がん
ビデオを見る: ASCOGU25: Toni Choueiri MD | Dana-Farber Cancer Institute

免疫療法後の進行腎臓がん患者のモニタリングに有効なバイオマーカーを特定
 
ニボルマブおよびイピリムマブによる治療のベネフィットを受ける進行腎細胞がん患者をKIM-1血液検査で早期に特定できることが、CheckMate 214試験のデータの事後解析で明らかになった。研究者らは、ベースラインでのKIM-1値が高いほど臨床転帰が不良であること、併用療法1サイクル投与3週間後にKIM-1値が減少すると長期的有効性が高まることを発見した。この結果は、循環KIM-1値が高いほど転帰が不良で、KIM-1値が低下すると免疫療法のベネフィットが高まることを示したこれまでの研究を裏付けるものである。これらの結果に基づき、KIM-1は進行腎細胞がんに対する免疫療法後の患者をモニタリングするための低侵襲性バイオマーカーとして使用できる可能性がある。

この研究は国立衛生研究所の資金提供を受けて実施された。
 
タイトル:進行腎細胞がん(aRCC)における予後および効果予測バイオマーカーとしての循環血液中の腎障害マーカー1(KIM-1)の評価:CheckMate 214の事後解析
アブストラクト:437
発表者:Wenxin (Vincent) Xu医師
セッション:腎細胞がんのバイオマーカーと補助療法:現状と今後の方向性
ビデオを見る:ASCOGU25: Dr. Vincent Xu, MD | Dana-Farber Cancer Institute

進行腎臓がんの一次併用療法のFDA承認につながった重要なCheckMate9ER試験の最終追跡調査 
 
進行腎臓がん患者に対して免疫療法剤(ニボルマブ)とチロシンキナーゼ阻害剤(カボザンチニブ)を併用すると、スニチニブ単独療法と比較して無増悪生存率が大幅に改善し、死亡リスクも低下することが、第3相CheckMate9ER臨床試験の最終追跡結果から明らかになった。2021年、この試験結果を受けて、米国食品医薬品局(FDA)は、進行腎細胞がん(RCC)患者の一次治療として、ニボルマブとカボザンチニブの併用を承認した。CheckMate9ERでは、この併用をスニチニブと比較して評価した。併用群の患者では、奏効率が高く、生活の質が優れていた。長期的には、中央値5年半を超える追跡調査の後、併用療法の方がスニチニブよりもベネフィットがあり、新たな安全性の問題もみられなかった。

この研究は、ブリストル・マイヤーズスクイブ社と小野薬品工業株式会社から一部支援を受け、エクセリクシス社、イプセン社、武田薬品工業株式会社から共同出資を受けている。Toni K. Choueiri医師は、ハーバード大学医学部のJerome and Nancy Kohlberg Chairから一部支援を受けている。 

タイトル:未治療進行腎細胞がん(aRCC)に対するニボルマブとカボザンチニブ(N+C)とスニチニブ(S)の比較:CheckMate9ER試験の最終追跡結果
アブストラクト:439
主任研究者:Toni K. Choueiri医師
セッション:口頭アブストラクトセッションC:腎細胞がんと精巣がん

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 記事担当者 仲里芳子
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2025/02/11

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

進行腎がんにアベルマブ+アキシチニブ併用はスニチニブよりも優れる(第3相最終期解析)の画像

進行腎がんにアベルマブ+アキシチニブ併用はスニチニブよりも優れる(第3相最終期解析)

JAVELIN Renal 101試験の最終解析結果

未治療の進行腎細胞がん(RCC)患者を対象に実施された第3相JAVELIN Renal 101試験では、最終的な全生存率(OS)解析...
個別化がんワクチンNeoVaxはステージIIIおよびIVの腎臓がんに有望の画像

個別化がんワクチンNeoVaxはステージIIIおよびIVの腎臓がんに有望

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、ステージIIIまたはIVの淡明細胞型腎細胞がん(腎臓がんの一種)の治療を受けている臨床試験の患者9人全員が、個別化がんワクチン投与開始後に抗がん免...
米FDAがニボルマブ+ヒアルロニダーゼ-nvhy皮下注を承認の画像

米FDAがニボルマブ+ヒアルロニダーゼ-nvhy皮下注を承認

2024年12月27日、米国食品医薬品局(FDA)は、ニボルマブ(販売名:オプジーボ、Bristol Myers Squibb社)の承認済みの成人固形がん適応症に対して、単独療法、ニボ...
進行腎がんの一次治療にベルズチファン新併用療法が引き続き検討されるの画像

進行腎がんの一次治療にベルズチファン新併用療法が引き続き検討される

研究概要研究タイトル:進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対する一次治療としてのbelzutifan[ベルズチファン]+カボザンチニブ併用療法(LITESPARK-003試験):非盲...