進行腎がんの一次治療にベルズチファン新併用療法が引き続き検討される

研究概要

研究タイトル:進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対する一次治療としてのbelzutifan[ベルズチファン]+カボザンチニブ併用療法(LITESPARK-003試験):非盲検、単一群、第2相試験

掲載誌:The Lancet Oncology
著者(ダナファーバーがん研究所):Toni K. Choueiri医師

概要:ダナファーバーがん研究所のToni Choueiri医師が主導する非盲検第2相LITESPARK-003試験において、血管新生阻害剤であるカボザンチニブ(販売名:カボメティクス)と、初となるHIF-2α阻害剤であるベルズチファンの併用療法が初めて検討された。研究者らは以前に、免疫療法による治療歴のある患者による本試験のコホート(患者群)2の結果を報告している。本試験では、進行腎がんの治療をまだ受けていない患者によるコホート(患者群)1の結果が報告された。追跡期間中央値24カ月後、患者の70%で客観的奏効が確認され、50人中4人が完全奏効、50人中31人が部分奏効であった。50人中7人に重篤な治療関連有害事象が認められたが、管理可能なものであった。

意義:進行淡明細胞型腎細胞がんに対する現在の一次治療には、抗PD1または抗PD-L1免疫療法に加えてCTLA-4阻害剤またはカボザンチニブなどのVEGFチロシンキナーゼ阻害剤を組み合わせる併用療法がある。これらの治療選択肢は患者の予後を改善しているが、すべての患者で奏効が得られるわけではなく、奏効が持続しない場合もある。本研究の結果は、カボザンチニブとベルズチファンの新たな併用療法を一次治療としてさらに検討することが必要であることを示唆している。

資金提供:Merck Sharp & Dome, LLC社(メルク・アンド・カンパニーの子会社)および米国国立がん研究所(NCI)

  • 監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)
  • 記事担当者 加藤千恵
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  • 原文掲載日 2025/01/07

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