アキシチニブは転移性腎臓癌の一次治療に有効

キャンサーコンサルタンツ

Lancet Oncology誌に掲載された試験結果によれば、アキシチニブによる一次治療は転移性腎細胞癌において有効であることが示された。

米国では毎年、58,000人を超える人が腎臓癌と診断される。最も一般的な腎臓癌は腎細胞癌(RCC)で、腎臓内の非常に細い管(尿細管)の上皮から発生する。体内の他の部位に転移した進行性腎細胞癌では分子標的療法が重要な役割を果たす可能性がある。

アキシチ二ブは、小分子チロシンキナーゼ阻害薬として知られた経口分子標的薬である。これは癌の増殖に重要な役割を果たす特定のたんぱく質を阻害する。

研究者は、米国、チェコ、ドイツ、日本、ロシアおよびスペインの病院および外来診療所の49箇所における213人の治療歴のない転移性腎細胞癌の患者について、第2相二重盲検試験を実施した。全ての患者はアキシチニブ(5 mgを1日2回)を4週間のリードイン期間投与された。リードイン期間後、112人の患者がアキシチニブとプラセボによる用量漸増法の対象者と認められた(組み入れ基準は、血圧が150/90 mm Hg以下で、グレード3-4の毒性が見られず、投与量の減量がない条件で決定された)。用量漸増法は、最善な効果に達するまで薬剤投与量を徐々に調整してゆくプロセスである。

研究者は、アキシチニブのマスキング用量漸増法試験に56人、プラセボの用量漸増法試験にも56人の患者をそれぞれランダムに振り分けた。アキシチニブの用量漸増法は、7 mgを1日2回服用から開始して忍容性があれば次に10 mgとした。

その結果より、アキシチニブ群の客観的奏効割合(54%)は、プラセボ群のそれ(34%)より高いことが示された。グレード3以上の有害事象には、高血圧症、下痢、および体重減少などがあった。

研究者は、各個人のアキシチニブ用量漸増法により、選択された転移性腎細胞癌患者で客観的奏効が得られたと結論づけている。この薬が腎細胞癌患者の一次治療として管理可能な安全性プロファイルのもと、効果を示すと述べられている。

参考文献:Rini BI, Melichar B, Ueda T, et al. Axitinib with or without dose titration for first-line metastatic renal-cell carcinoma: a randomised double-blind phase 2 trial. The Lancet Oncology. 2013; 14(12): 1233-1242.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大木勝弥

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学付属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性の画像

腎臓がん罹患率の世界的な差は腫瘍シグネチャーから説明できる可能性

腎臓がんのゲノム研究により、世界各地における腎臓がんの原因について新たな手がかりが得られた。

腎臓がんは、一部の国々では他国よりも多い。しかし、この地理的な違いは、タバコ喫煙、高血圧、肥...
腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらすの画像

腎臓がんに術後ペムブロリズマブが初の全生存期間改善をもたらす

免疫療法薬ペムブロリズマブ(キイトルーダ)は瞬く間に、最も広く使用されているがん治療薬のひとつとなった。大規模臨床試験の最新結果によると、同薬剤は今度は、腎臓がん、特に腎臓がんで最も多...
腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定の画像

腎臓がんリスクに関連する50のゲノム領域を新たに同定

概要腎臓がんの遺伝的感受性に関する新たな解析において、国際研究チームが、腎臓がんの発症リスクに関連する50の新たなゲノム領域を特定した。これらの知見は、腎臓がんの分子的基盤の理...
腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性の画像

腎がんを皮下注射型ニボルマブで治療、点滴より簡便になる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ進行した腎がんの患者にとって、皮下注射投与型ニボルマブ(販売名:オプジーボ)は、本来の静脈内投与の適切な代替方法であることが、臨床試験の初期...