転移性腎細胞癌に対する高容量プロロイキン療法の最新結果

キャンサーコンサルタンツ
2010年3月

米国の多施設試験の研究者ら(サイトカインワーキンググループ)は、高用量Proleukin(プロロイキン)(aldesleukin(アルデスロイキン)、インターロイキン2、 IL-2)療法は転移性腎細胞癌(MRCC)患者においてこれまで報告されているよりも高い奏効率を示したと報告している。この試験の詳細は、2010年3月5日から7日までサンフランシスコで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO)泌尿生殖器癌シンポジウムで発表された。[1]

IL-2およびインターフェロンαは、20年以上の間、MRCCの主な治療法である。この2つの薬剤によって完全奏効(CR)が得られる患者はごくわずかである。最近では、タルセバ(エルロチニブ)、 アバスチン(ベバシズマブ)、 ネクサバール(ソラフェニブ)、 スーテント(スニチニブ)、 Votrient™ [ボトリエント](pazopanib[パゾパニブ])などの分子標的薬がMRCCの治療に有効であるとわかっている。高用量Proleukin(プロロイキン)療法については、最近の報告はない。

本試験は、2007〜2009年に高用量Proleukin(プロロイキン)療法を受けたMRCC患者120人を対象とした。

  • 治療関連死は2人であった。
  • 奏効率は28%で、完全奏効が6人、部分奏効が28人に認められた。
  • 病勢安定が44人に認められた。
  • 淡明細胞型MRCC患者における奏効率は30%であった。
  • 「病理学的に非淡明細胞型で、UCLA SANI(腎摘除術および免疫療法後の生存)スコアで不利なリスクのある患者」においては奏効しなかった。

著者らは、本試験での高用量IL-2の奏効率はこれまでの結果に比べて有意に良好であったと結論づけている。

コメント:本試験は高用量Proleukin(プロロイキン)療法が淡明細胞型MRCC患者の最適な治療である可能性があると示唆している。

参考文献:
[1] Mc Dermott DF, Ghebremichael M, Signoretti S, et al. The high-dose aldesleukin (HD IL-2) Select trial in patients with metastatic renal cell carcinoma (mRCC): Preliminary assessment of clinical benefit. 2010 Genitourinary Cancers Symposium; abstract number 321.


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翻訳担当者 鈴木 久美子

監修 九鬼 貴美(腎臓内科)

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