尿路上皮がんの維持療法にアベルマブを承認

2020年6月30日、米国食品医薬品局(FDA)は、プラチナ製剤を含む化学療法による一次治療で進行していない局所進行性または転移尿路上皮がん(UC)患者の維持療法として、アベルマブ(販売名:バベンチオ、EMD Serono, Inc.社)を承認した。

尿路上皮がんに対するアベルマブによる維持療法の有効性は、一次治療として4~6サイクルのプラチナ製剤を含む化学療法を受けても進行が認められなかった切除不能な局所進行性または転移尿路上皮がん患者700人を対象とした無作為化多施設共同非盲検試験、JAVELIN Bladder 100試験(NCT02603432)で検討された。患者は、アベルマブを2週間ごとの静脈内投与+支持療法(best supportive care)群、または支持療法単独群に1:1に無作為に割り付けられた。治療は最後の化学療法での投与から4~10週間以内に開始した。

主要有効性評価項目は、全患者およびPD-L1陽性腫瘍患者における全生存期間(OS)であった。全患者の全生存期間中央値は、アベルマブ群で21.4カ月、BSC単独群で14.3カ月であった(HR[ハザード比]:0.69、95%CI[信頼区間]:0.56~0.86、p=0.001)。PD-L1陽性腫瘍患者(51%)で、OSのHRは0.56(95%CI:0.40~0.79;p<0.001)であった。探索的解析においてPD-L1陰性腫瘍患者(39%)で、OSのHRは0.85(95%CI:0.62~1.18)であった。

アベルマブを投与された患者の20%以上で認められた副作用は、疲労、筋骨格系疼痛、尿路感染症、発疹であった。1人が敗血症で死亡し、28%の患者に重篤な副作用が認められた。

アベルマブの推奨用量は、2週間毎に800 mgを60分かけて点滴静注を行い、疾患進行または許容できない毒性が発現するまで実施する。

本試験の結果は、アベルマブが受理した迅速承認の正規承認への転換を支持するものであった。

BAVENCIOの全処方情報はこちらを参照。(*日本語の添付文書はこちらを参照)

本審査では、全ての臨床申請書を提出する前にデータ提出を行い審査の効率化を図るReal-Time Oncology Review(RTOR)が用いられ、FDAによる評価を円滑に進めるために申請者が自発的に申請を行うAssessment Aidが使用された。本申請は、FDAが設定した目標期日の3カ月前に承認された。

アベルマブは、優先審査および画期的治療薬の指定を受けた。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、「企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品」(the Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 後藤若菜

監修 東海林洋子(薬学博士)

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