PD-L1低発現尿路上皮がんではペムブロリズマブ、アテゾリズマブ単剤で生存率低下
2018年5月18日
対象読者: 腫瘍医、薬剤師、リスクマネージャー
問題点:米国食品医薬品局(FDA)は、医療従事者、がん臨床試験責任医師、および一般に対して、転移性尿路上皮がん患者を対象とした臨床試験において、前治療歴がなく、プログラム死リガンド1(PD-L1)発現が低い患者ではペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)またはアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の単剤療法としての使用に関連する生存率の低下がみられたことについて警告を発している。
現在進行中の2件の臨床試験(KEYNOTE-361およびIMVIGOR-130)のデータモニタリング委員会(DMC)の早期レビューによって、両試験でのPD-L1の発現の低い単剤療法群の患者は、シスプラチンベースまたはカルボプラチンベースの化学療法を受けた患者と比べて、生存率が低かったことが明らかになった。
医療従事者は、これらの実施中の臨床試験に組み入れられた集団はプラチナを含む化学療法に適格であり、そのためシスプラチンを含む化学療法に適格でない局所進行または転移性尿路上皮がん患者へのペムブロリズマブおよびアテゾリズマブの迅速承認につながった臨床試験に組み入れられた集団とは異なることを把握する必要がある。
背景:ペムブロリズマブおよびアテゾリズマブは現在ともに、PD-L1の状態にかかわらず、シスプラチンを含む化学療法に適格でない局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対する治療として、迅速承認制度下で承認されている。ペムブロリズマブおよびアテゾリズマブはどちらも現在、その他の複数のがん種の治療薬としてFDAによる承認を受けている。
推奨: 患者は、いずれかの薬剤について質問または懸念がある場合は、担当医師に相談してください。これ以外の承認された使用方法としてペムブロリズマブまたはアテゾリズマブの投与を受けている患者は、担当の医療従事者の指示のとおり投与を継続してください。
FDAは、医療提供者が局所進行または転移性尿路上皮がんの治療の対象とする患者を選択する際に、各薬剤のラベルのSection 14(サイト注:米国での処方情報であり、日本での添付文書には該当する番号はありません)に記載された基準を使用することを推奨する。これらの基準は、シスプラチンが不適格な患者に対するペムブロリズマブあるいはアテゾリズマブの初回単剤療法の承認の根拠となったものである。
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