パゾパニブ+パクリタキセルが再発性・難治性膀胱がん治療に有望
キャンサーコンサルタンツ
パゾパニブ(ヴォトリエント)+パクリタキセル(タキソール)の併用療法は、既存の治療後に奏効しなかったか、再発した膀胱がんに対し有効である可能性がある。この知見は、フロリダ州オーランドで2月26~28日に開催された2015年泌尿生殖器がんシンポジウムで発表された。
米国では、年間約50,000人の男性ならびに約17,000人の女性が膀胱がんと診断されている。膀胱がんは全世界で9番目に多いがんで、毎年約145,000人が死亡している。治療が奏効しない(難治性)、または治療後に再発する(再発性)膀胱がん患者には有効な治療選択肢がほとんどない。
研究者らは、再発性・難治性膀胱がんへのパクリタキセル単剤と他の薬剤との併用を研究してきた。パクリタキセルは多少効果があるものの、改善の余地は多い。今回の研究で、腎臓(腎細胞)がんに使用されており、他のがんについても研究されているパゾパニブとの併用によるパクリタキセルの効果を評価した。
29~98歳の患者32人が第2相臨床試験に参加した。全員が2種類の化学療法レジメン後も増悪した膀胱がん患者であった。試験期間中(2010年4月~2014年)、患者は28日を1サイクルとし、21日間 パゾパニブの連日投与と、1週間毎に3回パクリタキセルを投与された。膀胱がんが増悪するか、副作用が容認しえない状態になるまで治療を継続した。研究者らは、奏効率だけではなく、安全性や無増悪生存期間も解析した。
研究者らは、疾患進行度を表す、評価対象とする腫瘍の病変数を治療前後で比較するなど、定められた基準に則って奏効率を評価した。完全奏効(観察したすべてのがん部位が1カ月以上消失)と客観的奏効率(完全または部分奏効)を調査した。
これらの基準に従うと、患者の約半数がパゾパニブ+パクリタキセルで奏効し、客観的奏効率は58%であった。これらの患者で、12%は完全奏効、46%は部分奏効であった。無増悪期間中央値は6カ月で、全生存期間は8カ月であった。患者の35%は疾患が安定していたが、これはがんが増悪しなかったが、縮小もしなかったということである。
高血圧、疲労、血栓形成、白血球数の減少(好中球減少症)など重篤な副作用が複数例みられた。上記以外に貧血などの副作用もみられたが、重症ではなかった。
研究者らは、パゾパニブ+パクリタキセルの併用は再発性・難治性膀胱がんに効果があり、患者に対する忍容性は容認できるものだと結論づけた。第2相臨床試験での知見に基づき、パゾパニブ+パクリタキセルは第3相臨床試験でさらに研究を続ける価値があると彼らは述べている。
参考文献:
Srinivas S, Narayanan S, Harshman LC, et al. Phase II Study of Pazopanib with Weekly Paclitaxel in Refractory Urothelial Cancer. Presented at the 2015 Genitourinary Cancers Symposium. Journal of Clinical Oncology. 2015; 33 (supplement 7; abstract 294).
監訳者注:第4段落は原文に不明確な記載があったと思われ、学会発表された際の抄録(http://meetinglibrary.asco.org/content/141684-159)を確認した上で、監訳者が実際の抄録に沿って加筆修正を加えております。
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