ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法は進行膀胱がんに有望

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ラムシルマブ[ramucirumab](商品名:サイラムザ(Cyramza))+ドセタキセル(タキソテール)の併用治療は、前治療後に再発した進行膀胱がん患者の無増悪生存期間を延長すると考えられる。この成績は2月26から28日にフロリダ州オーランドで開催された2015年泌尿生殖器がんシンポジウムで発表された。

米国では年間に約50,000人の男性および約17,000人の女性が膀胱がんと診断される。膀胱がんは全世界で9番目に多いがんで、毎年、世界中で約145,000人が死亡している。進行膀胱がん患者には有効な治療の選択肢がほとんどなく、新しい治療方法の研究は重要である。

ラムシルマブはモノクローナル抗体として知られている分子標的薬剤の一種である。ラムシルマブはがんへの新たな血管形成を阻害し、がんへの栄養を欠乏させることにより作用する血管新生阻害剤として知られている種類の薬剤に属する。最近、ラムシルマブは胃がんおよび非小細胞肺がんの治療の適応でFDAに承認され、膀胱がんを含む他のがんでは試験中である。

初期の試験結果から、ラムシルマブはドセタキセルのようなタキサン系の薬剤と併用した場合、膀胱がんに有効性を示す可能性がある。進行膀胱がんに対する有望な治療としてのラムシルマブとドセタキセルについてさらに情報を得るために、膀胱壁を通し、またはリンパ節へ拡散した膀胱がん患者(局所進行)、および、さらに進行した膀胱がん患者(転移)において、ドセタキセル単独とラムシルマブ+ドセタキセル併用とを比較する試験が実施された。すべての患者は、進行膀胱がんの治療に広く用いられているプラチナを基本とした化学療法後1年以内に膀胱がんを再発していた。

平均年齢67歳で、女性対男性比が1対4である患者が、ドセタキセル単独群(44人)またはラムシルマブ+ドセタキセル併用群(46人)に無作為に割り付けられた。両群は21日ごとに投与を受けた。患者には膀胱がんが進行するか、副作用が耐えられなくなるまで投与が継続された。試験はまだ継続中であるが、これまでの試験結果は現在、入手可能である。

ドセタキセル+ラムシルマブ併用群の患者は、ドセタキセル単独群の患者に比べて全健康状態およびQOLが優れていると考えられた。これらの患者はドセタキセル単独群の患者に比べて無増悪生存期間が約3カ月長く、疾患が増悪するリスクが61%減少した。ドセタキセル+ラムシルマブ併用群は、奏効率が約20%と、ドセタキセル単独群の約5%に比べて優れていた。また、併用治療は病勢コントロール率も67%対43%と優れていた。

両治療群の患者で倦怠感、食欲低下、悪心、神経障害の副作用がみられた。また、発熱性好中球減少症、肺炎および高血圧も発症していた。ドセタキセル+ラムシルマブ併用群の患者でより多くの副作用がみられたが、合併症発生率は許容範囲内であった。

本試験は2015年中にさらに継続される予定であり、総合結果およびすべての治療成績に対する最終報告が期待されている。すでに確認された無増悪生存期間の改善で、ドセタキセル+ラムシルマブはプラチナを基本とする化学療法後に再発した進行膀胱がんの治療に有望と考えられる。

参考文献:
Petrylak DP, Tagawa ST, Kohl M, et al. Interim Results of a Randomized Phase 2 Study Of Docetaxel with Ramucirumab versus Docetaxel in Second-Line Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma. Presented at the 2015 Genitourinary Cancers Symposium. Journal of Clinical Oncology. 2015; 33 (supplement 7; abstract 295).


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翻訳担当者 木下秀文

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

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