治験薬MPDL3280Aは転移性膀胱癌の治療に有望

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開発中の治験薬MPDL3280AがPD-L1陽性の転移性膀胱癌治療に有効であることを示す第1相臨床試験の結果が、2014年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で報告された。

米国では年間に男性約5万人、女性約1万7千人が膀胱癌と診断されている。膀胱癌は、全世界で9番目に多い癌であり、1年間でおよそ14万5千人が死亡している。進行した膀胱癌の患者には、よい治療の選択肢がほとんどなく、新たな治療法が必要とされている。

MPDL3280Aは抗PDL1療法であり、癌が体内の免疫系の防御機能から逃れるのを阻害することで効果を発揮する。この薬剤は、プログラム細胞死に関与するPD-L1タンパク質を標的とする改変抗体であり、免疫系のT細胞が癌細胞をより効果的に攻撃できるようにする。PD-L1は、多くの癌細胞の表面に発現し、免疫系が癌を攻撃するのを阻害する。

研究者の報告によれば、MPDL3280Aによって、既治療の転移性膀胱癌患者でPD-L1陽性である30人中13人(43%)において腫瘍が縮小した。

膀胱癌には新たな治療法が求められていることから、米国の保健当局は、本薬剤をbreakthrough therapy(画期的治療薬)に指定した。これは重篤あるいは致命的な病態に対する治療薬の開発および審査を優先的に行うことを目的としている。MPDL3280Aは、今後、安全性、副作用、至適用量、有効性を検討するため、臨床試験において使用可能になる予定である。

参考文献:
Powles T, Vogelzan N, Fine GD, et al. Inhibition of PD-L1 by MPDL3280A and clinical activity in pts with metastatic urothelial bladder cancer (UBC). J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr 5011)


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翻訳担当者 滝坂美咲

監修 榎本 裕(三井記念病院 泌尿器科)

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