シスプラチンベース化学療法の即時実施は浸潤性膀胱癌の無増悪生存期間を延長する

キャンサーコンサルタンツ

浸潤性膀胱癌患者に対するシスプラチンを基本とする化学療法の即時実施は、治療延期よりも無増悪生存期間を有意に改善するという試験結果が、2014年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で報告された。試験は外科的切除を受けた患者のみを対象とした。全生存期間に有意な改善はみられなかった。

欧州癌研究治療機関(EORTC)による本臨床試験では、浸潤性膀胱癌の手術を受けた患者1,344人の登録が試みられた。しかしながら、6年後の登録者数は284人のみであった。試験では、再発時にシスプラチンを基本とする化学療法を用いる即時治療を実施する場合と、化学療法剤の投与を延期して観察のみを行う場合とを比較して、生存期間延長に関して、どちらがより有効であるかを検証した。

試験の主要評価項目である全生存期間に統計学的な有意差は認められなかったが、無増悪生存期間についてはシスプラチン即時治療群に有効性が認められた。シスプラチン治療群の無増悪生存期間が2.92年であったのに対し、化学療法延期群では0.93年であった。

研究者らは、今回得られたデータは他の小規模の術後療法試験の結果と合わせることにより、さらに価値のある成績になると結論づけた。

参考文献:
Sternberg, Cora et al. Final results of EORTC intergroup randomized phase III trial comparing immediate versus deferred chemotherapy after radical cystectomy in patients with pT3T4 and/or N+ M0 transitional cell carcinoma (TCC) of the bladder. J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr 4500).


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翻訳担当者 重森玲子

監修 辻村信一 (獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所)

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