糖尿病治療薬、膀胱癌リスクを高める可能性

キャンサーコンサルタンツ

Canadian Medical Association Journal誌電子版で先に公表された試験によると、チアゾリジンジオン系と呼ばれる一群に分類される薬剤は、2型糖尿病成人患者において膀胱癌のリスク増加と関連していた。

米国では毎年約6万人が膀胱癌と診断されている。膀胱癌は高齢者により多くみられる。2型糖尿病患者は膀胱癌のリスクが40%高い。さらに、いくつかの研究結果から、チアゾリジンジオン系のひとつであるピオグリタゾンを服用している患者は膀胱癌の発現率がいっそう高いことが明らかになった。

チアゾリジンジオン系薬剤と膀胱癌の関係を検討するため、研究者らは260万人の患者を組み入れたランダム化比較対照臨床試験および観察研究の系統的レビューおよびメタアナリシスを行った。そして膀胱癌のリスク増加がチアゾリジンジオン系、特にピオグリタゾンの服用と関連していることを認めた。

研究者らはチアゾリジンジオン系、特にピオグリタゾンが2型糖尿病成人患者において膀胱癌のリスク増加と関連していることを示す限定的な証拠があると結論づけた。さらに、そのリスクは小さいものの、癌のリスク増加をもたらさない、他の同等に有効な2型糖尿病治療薬を使用するのが妥当であるかもしれないと言及している。

参考文献:
Colmers IN, Bowker SL, Majumdar SR, Johnson JA. Use of thiazolidinediones and the risk of bladder cancer among people with type 2 diabetes: a meta-analysis. Canadian Medical Association Journal. Published early online July 3, 2012 DOI: 10.1503/cmaj.112102


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翻訳担当者 可部真知子

監修 廣田 裕(呼吸器外科/とみます外科プライマリーケアクリニック)

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