膀胱癌に2種類のBCGを比較した研究

キャンサーコンサルタンツ

筋層非浸潤性膀胱癌にカルメット・ゲラン菌(BCG)のコンノート株を使用するとタイス株よりも効果的に再発を防ぐことができるかもしれない。第3相臨床試験より得られたこれらの結果は、米国癌学会2012年年次総会で発表された。

米国では、毎年55,000人以上の男性と17,000人以上の女性が膀胱癌と診断されている。治療法の改善により膀胱癌患者はこれまでないほどに長く生存している。今日米国での膀胱癌サバイバーは、500,000人以上に上ると推定されている。

早期の膀胱癌(膀胱筋層に達していない癌)の患者に対しては、膀胱から癌を取り除くために手術やその他の治療を行う。癌が再び生じる(再発)リスクを下げるために、膀胱に直接BCGや化学療法剤が投与されることがある。

BCGは、弱毒化された細菌の免疫療法である。BCGは、尿道を通じて膀胱に直接注入され、癌細胞を殺すために人体の免疫システムを刺激することで、抗癌効果を発揮する。異なったBCGの株が膀胱癌治療に使用可能であり、これらの異なった株には、有効性に差がある可能性がある。

米国とヨーロッパで通常使用されている2つのBCG株―コンノート株とタイス株―を比較するためにヨーロッパの研究者らは、早期の膀胱癌患者149人に第3臨床試験を行った。患者の半分はコンノート株で治療を行いあとの半分にはタイス株で治療を行った。

非再発5年生存率は、BCGのコンノート株で治療した患者では75%、タイス株で治療した患者では46%であった。BCGのタイプによって副作用に有意な差はなかった。

これらの結果より、筋層非浸潤性膀胱癌の治療には、BCGのコンノート株はタイス株より有効であることが示唆された。

参考文献:

RentschCA, Birkhauser F, Studer UE et al. A randomized phase III study comparing the efficacy of bacillus Calmette-Guérin strain Tice versusConnaughtfor immunotherapy of non-muscle invasive bladder cancer. Paper presented at: 2012 annual meeting of the American Association for Cancer Research; March 31-April 4, 2012; Chicago,IL. Abstract 2691.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 上野 葉

監修 榎本 裕(泌尿器科/東京大学医学部付属病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

膀胱がんに関連する記事

膀胱がんへの拡大リンパ節摘出術は生存転帰改善に差がないとの試験結果の画像

膀胱がんへの拡大リンパ節摘出術は生存転帰改善に差がないとの試験結果

外科医は、一部の膀胱がん治療法として、膀胱と周囲のリンパ節を摘出する。リンパ節を摘出すると、がんが骨盤内に再発する可能性が低くなる。

局所性筋層浸潤性膀胱がん患者が膀胱摘出手術を受ける場...
高リスク膀胱がんに対する術後ペムブロリズマブは無病生存期間を延長の画像

高リスク膀胱がんに対する術後ペムブロリズマブは無病生存期間を延長

NIHの臨床試験結果から、この疾患の治療選択肢が拡大高リスクの筋層浸潤性膀胱がん患者において、手術で膀胱を摘出した後、免疫療法薬による治療によってがんのない期間がほぼ2倍になる...
FDAがBCG不応性の筋層非浸潤膀胱がんにノガペンデキン アルファ インバキセプトを承認の画像

FDAがBCG不応性の筋層非浸潤膀胱がんにノガペンデキン アルファ インバキセプトを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年4月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、乳頭状病変(Ta/T1)の有無を問わない上皮内がん(CIS)を有するカルメット・ゲラン桿菌(BCG)に不応...
尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍にの画像

尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍に

ジョンズホプキンス大学抗悪性腫瘍薬エンホルツマブ ベドチン(販売名:パドセブ)とペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)との併用療法は、標準的な化学療法と比較して、進行尿路上皮がん(膀...