マイトマイシンCの長期投与が膀胱癌コントロールに有効

キャンサーコンサルタンツ
2007年5月

ドイツの研究者の報告によると、毎月3年間続けて膀胱内にマイトマイシンC(MMC)を投与すると、表在性膀胱癌の再発が減少する。この研究の詳細はEuropean Urology で2007年3月12日にオンライン上で早期公開されている。

標準的な処置を行っても、多くの表在性膀胱癌患者が再発を経験する。癌の切除後、表在性膀胱癌患者は、たいていマイトマイシンCまたはカルメット・ゲラン桿菌(BCG)によるアジュバント膀胱内療法を受ける。この治療は有効ではあるものの、再発することも多い。病気が再発した患者は50%以上である。研究者は、表在性膀胱癌患者の再発のリスクを減少させ、最終的には膀胱を温存するために、膀胱内療法の効果を強化する方法を評価している。

本研究では、495人の表在性膀胱癌患者をランダムに3群のうちの1群に割当てた。

MMCの6週間の膀胱内投与
BCGの6週間の膀胱内投与
MMCの6週間の膀胱内投与後、さらに3年に渡って毎月投与

42回の投与を計画どおりすべて受けた患者は全体の8%で、長期治療群の平均投与数はわずか21回であった。

再発率は次のとおりとなった。

6週間MMCを投与した群の再発率は26%で、3年後の無再発率は68.6%
6週間BCGを投与した群の再発率は25%で、3年後の無再発率は65.5%
長期にMMCを投与した群の再発率は10%で、3年後の無再発率は86.1%

著者は化学療法の継続が表在性膀胱癌患者に有効であると結論づけた。

コメント:
非常に興味深いデータであり、また大部分の患者がMMCを計画どおりすべて投与されていないことにも関心が寄せられる。患者が指示にもっと良く従っていれば、その効果はさらに大きくなっていたかもしれない。

参考文献: 
Fredrich MG, Pichimeier U, Schwaibold H, et al. Long-term intravesical adjuvant chemotherapy further reduces recurrence rate compared with short-term intravesical chemotherapy and short-term therapy with Bacillus Calmete-Guerin (BCG) in patients with non-muscle-invasive bladder carcinoma. European Urology. 2007: March 12; epub ahead of print.


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳担当者 大國 義典

監修 林 正樹 (血液・腫瘍医)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

膀胱がんに関連する記事

膀胱がんへの拡大リンパ節摘出術は生存転帰改善に差がないとの試験結果の画像

膀胱がんへの拡大リンパ節摘出術は生存転帰改善に差がないとの試験結果

外科医は、一部の膀胱がん治療法として、膀胱と周囲のリンパ節を摘出する。リンパ節を摘出すると、がんが骨盤内に再発する可能性が低くなる。

局所性筋層浸潤性膀胱がん患者が膀胱摘出手術を受ける場...
高リスク膀胱がんに対する術後ペムブロリズマブは無病生存期間を延長の画像

高リスク膀胱がんに対する術後ペムブロリズマブは無病生存期間を延長

NIHの臨床試験結果から、この疾患の治療選択肢が拡大高リスクの筋層浸潤性膀胱がん患者において、手術で膀胱を摘出した後、免疫療法薬による治療によってがんのない期間がほぼ2倍になる...
FDAがBCG不応性の筋層非浸潤膀胱がんにノガペンデキン アルファ インバキセプトを承認の画像

FDAがBCG不応性の筋層非浸潤膀胱がんにノガペンデキン アルファ インバキセプトを承認

米国食品医薬品局(FDA)2024年4月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、乳頭状病変(Ta/T1)の有無を問わない上皮内がん(CIS)を有するカルメット・ゲラン桿菌(BCG)に不応...
尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍にの画像

尿路上皮がんにエンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブ併用で生存期間がほぼ2倍に

ジョンズホプキンス大学抗悪性腫瘍薬エンホルツマブ ベドチン(販売名:パドセブ)とペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)との併用療法は、標準的な化学療法と比較して、進行尿路上皮がん(膀...