FDAが末期皮膚癌に対してZelboraf(ベムラフェニブ)とコンパニオン診断薬を承認/FDAニュース

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年8月17日
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FDAが末期皮膚癌に対してZelboraf(ベムラフェニブ)とコンパニオン診断薬を承認

今年承認された2つ目の全生存期間を延長するメラノーマ治療薬

米国食品医薬品局(FDA)は本日、末期(転移性)または切除不能な(外科手術で切除できない)メラノーマ患者の治療薬として、Zelboraf(vemurafenib〔ベムラフェニブ〕)を承認した。メラノーマは最も危険なタイプの皮膚癌である。

Zelborafは、メラノーマがBRAF V600Eと呼ばれる遺伝子変異を発現した患者に特に適応される。FDA承認の診断法によるメラノーマ検査で遺伝子変異が陰性と認められた患者では同薬の試験は実施されていない。

Zelborafはcobas 4800 BRAF V600変異診断薬と呼ばれる、この種で初めての診断薬とともに承認されている。この診断薬は、患者のメラノーマ細胞にBRAF V600E変異があるかどうか判定するのに役立つコンパニオン診断薬である。

BRAF蛋白は通常、細胞増殖の制御に関与しているが、末期メラノーマ患者の約半数で変異している。ZelborafはBRAF阻害薬で、V600Eに変異のあるBRAF蛋白の機能を阻害する。

「今年は、末期メラノーマ患者にとって重要な年といえる。Zelborafは全生存期間を延長する治療薬として承認された2番目の新薬である」とFDA医薬品評価研究センターの抗腫瘍薬製品局長であるRichard Pazdur医師は述べた。「3月には、別の末期メラノーマの新治療薬で、投与後の生存期間を延長する効果が認められたYervoy(イピリムマブ)を承認した」。

Zelborafは、FDAの優先審査プログラムで審査された。同プログラムは、治療に大幅な進歩をもたらす可能性のある薬剤や、これまで適切な治療法が存在しなかった場合に治療が提供できる薬剤を、6カ月間という短期間に迅速審査するものである。ZelborafとBRAF V600Eコンパニオン診断薬は、同薬の目標承認日2011年10月28日、およびコンパニオン診断薬の目標承認日2011年11月12日より早く、承認手続き中である。

Zelborafの安全性および有効性は、BRAF V600E変異のある末期メラノーマ患者で、未治療の675名を対象とした1件の多国籍臨床試験で確立された。患者はZelborafか、または別の抗癌剤ダカルバジンのいずれかに割り付けられた。試験の目的は、全生存期間(治療開始から患者の死亡までの期間)の測定であった。

Zelboraf投与群の生存期間(治療後の生存期間)中央値はまだ算出に至っていないが(77%が生存中)、ダカルバジン投与群の生存期間中央値は8カ月であった(64%が生存中)。

「Zelborafとcobas診断薬が本日承認されたことは、コンパニオン診断薬を開発し、利用することで、患者がより個別的で効果の高い治療を安全に受けられるようになるという絶好の例である」とFDA医療機器・放射線保健センターのIn Vitro診断装置評価・安全性局(Office of In Vitro Diagnostic Device Evaluation and Safety)局長であるAlberto Gutierrez博士は述べた。

FDAのcobas 4800 BRAF V600変異診断薬の承認の根拠となった臨床試験は、Zelborafの安全性および有効性も評価した。患者のメラノーマ組織の検体が採取され、変異が検査された。

Zelboraf投与群で最も多く報告された副作用は、関節痛、発疹、脱毛、倦怠感、悪心、日光に対する皮膚過敏症などであった。患者の約26%は皮膚扁平上皮癌と呼ばれる皮膚関連の癌を発症したが、これは外科手術により切除された。Zelboraf治療を受ける患者は日光を避けるべきである。

Zelborafは、医療従事者と患者に対して、Zelborafの潜在的リスクについて情報を知らせるための患者向け医薬品ガイド(Medication Guide)とともに、承認手続き中である。

2011年7月、FDAはコンパニオン診断薬の開発と審査を促進するための新たなガイダンス(草案)を公表した。ガイダンスは現在パブリックコメントを受け付けているが、コンパニオン診断薬および関連する薬剤療法の審査に関するFDAの指針を企業に提供することがガイダンスの目的である。

メラノーマは皮膚疾患での死因の1位を占める。米国国立癌研究所は、2010年に米国で新たに68,130例のメラノーマが診断され、約8,700人が死亡すると推定している。

Zelborafは南サンフランシスコに拠点を置くGenentech社(Rocheグループ)が販売する。Cobas 4800 BRAF V600変異診断薬は、カリフォルニア州PleasantonのRoche Molecular Systems社が製造する。

詳細については下記も参照のこと。

FDA: 抗腫瘍薬製品

FDA: In Vitro 診断薬

FDA: ガイダンス(草案) – In Vitro コンパニオン診断薬

FDA: 既承認薬: QA集

NCI: メラノーマ

CDC: 皮膚癌

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丸野 有利子 訳
辻村 信一 (野獣学/農学博士、メディカルライター)監修 
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原文

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