BEMPEG+ニボルマブ併用療法は未治療の転移性メラノーマに持続的奏効を示す

ベンペガルデスロイキンとニボルマブの併用で34.2%の完全奏効率を試験によって確認

インターロイキン2(IL-2)作動薬であるベンペガルデスロイキン [bempegaldesleukin](BEMPEG)とニボルマブの併用は安全であり、治療歴のない転移性メラノーマ(悪性黒色腫)患者に深く持続的な奏効をもたらすことが、国際共同PIVOT-02試験の第2相コホートで明らかになった。本結果は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者によって、Journal of Clinical Oncology誌に本日発表された。

筆頭著者および責任著者であるメラノーマ腫瘍内科准教授のAdi Diab医師は、本研究結果を米国がん免疫療法学会の2020年年次総会で発表している。米国食品医薬品局(FDA)は2019年に、治療歴のない転移性メラノーマに対するBEMPEGとニボルマブの併用を画期的治療薬に指定している。

今回の発表では、治療初期の血中バイオマーカーが奏効と相関することを示す探索的バイオマーカー解析も掲載されており、BEMPEGとニボルマブの併用はT細胞数を増加させるだけでなく、T細胞の機能も改善する可能性が示されている。

「免疫チェックポイント阻害薬は、進行性メラノーマ患者の標準治療となっていますが、これらの治療法が効かない患者のアンメットニーズの解決が依然として急務です。私たちは、IL-2経路を利用して腫瘍微小環境を調節する薬剤を追加することで、重大な毒性を発生させずにチェックポイント阻害薬の限界を克服しようとしました」とDiab医師は述べた。

この臨床試験では、治療歴のないIII期またはIV期のメラノーマ患者41人を登録した。参加者には、BEMPEGとニボルマブを3週間に1回、最長で2年間静脈投与した。38人の患者が奏効の評価対象となった。安全性と客観的奏効率を主要評価項目とした。

フォローアップ期間中央値29カ月の時点で、客観的奏効率は52.6%、完全奏効率は34.2%であった。奏効者のうち90%では、ベースラインと比較して標的病変が100%減少した。全生存期間中央値は未達で、24カ月全生存率は77%であった。無増悪生存期間中央値は30.9カ月であった。

治療関連有害事象の大部分は重症度が低く、未処置、または標準的な管理で解決した。グレード3または4の治療関連有害事象が17.1%の患者に認められ、4.9%の患者に免疫介在性有害事象が認められた。これらの割合は、PD-1阻害薬の単剤療法で報告されている毒性と一致していた。

試験参加者の年齢中央値は63歳で、半数以上(58.5%)が男性であった。メラノーマ全体の発生率と同様に、参加者の92.7%が白人で、7.3%がその他の人種であった。

治療前および治療中のバイオマーカーも評価した。治療前の腫瘍バイオマーカーでは、IFN-y GEP、CD8+、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、CD74、HLA-Eの高値が奏効と関連していた。これらの結果と血中バイオマーカーの結果から、ニボルマブにBEMPEGを追加することで、T細胞数が増加するとともに、その適応能と機能が向上すると研究者は推測している。

本研究は、被験者数が少なく、単群デザインであったため、限界があった。現在、この結果をさらに検証するために、ランダム化第3相臨床試験が進行中である。

「今回の試験では、BEMPEGとニボルマブの併用が安全かつ有効であることが示されました。進行メラノーマと診断された患者さんに新たな治療選択肢の可能性を見出せたことを喜ばしく思います。現在登録中の第3相試験の結果に期待しています」とDiab医師は述べた。

本試験はNektar Therapeutics社とBristol Myers Squibb社の支援を受けた。Diab医師は、Nektar社とBristol Myers Squibb社からの研究支援とコンサルティング料を報告している。共著者の全リストと情報は論文に掲載されている。

翻訳担当者 錦織大介

監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科)

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