英国では男性の皮膚がん罹患率が過去10年で50%上昇

ここ10年、英国人男性の間で皮膚メラノーマ(悪性黒色腫)がおよそ50%増加しています。

同時期の女性の罹患率は30%上昇していますが、皮膚がんは男性でよくみられます。

また、男性は女性よりも進行した段階で診断される割合が高く、皮膚がんが胴体部分にみられることが多くあります。これはおそらく、肌を露出していることが原因と考えられます。したがって、特に背中に異変が生じた場合は発見がむずかしくなります。また残念なことに、男性の死亡率が8%上昇していることが統計からわかると慈善団体は警告しています。

2年に1度だけでも日焼けをすると、皮膚がんのリスクは3倍になります。だからこそ、誰もが自分の身を守る方法を知っておくことが大切だとこれらの統計は警告しています。日陰を選んだり、肌を覆ったり、日焼け止めを塗ったりすることで、屋外でも安全に過ごすことができます。
―キャンサーリサーチUK最高経営責任者Michelle Mitchell氏

キャンサーリサーチUKが資金提供した研究で、血中テストステロン値の上昇と男性におけるメラノーマのリスク上昇との間に関連があることが新たに分かりました。その研究結果が出た数カ月後、今回の最新の統計が発表されました。

英国の日光は海外にいるときと同じくらい強い

英国も暑くなるにつれて多くの人が外に出るようになる中、同団体はこれらの統計を発表し、特に日焼けしやすい人は日光から肌を守るよう呼びかけています。

「今年はステイケーション(ステイホームや近場・日帰りの旅行)が主流になりそうですが、英国の日光は海外にいるときと同じように強いという事実を忘れてはなりません。同様に覚えておいていただきたいのは、肌に何か違和感を感じたり、変化に気づいたりした場合は、かかりつけ医に相談してほしいということです」と、キャンサーリサーチUKの最高経営責任者Michelle Mitchell氏は言います。

「かかりつけ医にすぐ相談を」

ダドリー在住のAdrian Webbさん(55歳)は、背中のほくろの色が変化していることに妻のMicheleさんが気づき、2012年9月に初めて皮膚がんと診断されました。

手術や放射線治療などの治療を受けましたが、1年後、がんが転移しているという衝撃的な知らせを受け、指導医からは余命12カ月と宣告されました。

「自分ひとりでは医師の診察を受けるということには絶対にならなかったでしょうから、妻がほくろに気づいてくれたおかげで命が救われたと思っています」とAdrianさんは語っています。

Adrianさんはその後も治療を続け、治療は2016年に終了しました。現在、がんは痕跡程度にまで縮小しています。

「何年も先の計画を立てることはできませんでしたが、4年以上無治療の状態が続いている今、再び前を向くことができるようになりました。起こったことは変えられませんが、今の生活がとても楽しく、素晴らしい家族にも恵まれています」。

「私の話が、私と同じような経験をする人を増やさないための手助けになることを願っています。肌の異変に気づいたら、ぜひすぐにかかりつけ医に相談してください」。

屋外で安全に過ごすために

皮膚メラノーマの罹患率は上昇傾向にありますが、10件中ほぼ9件は予防可能です。

日焼けは健康の証しと思われがちですが、日光やサンベッドでの健康的な日焼けというものはあり得ません。日焼けは、体が有害な光線から身を守ろうとしていることに他ならないのです。

英国では、太陽光線は午前11時から午後3時の間が最も強く、曇りの日でも皮膚細胞のDNAに持続的な損傷を与えるおそれがあります。

肌を守るために:
・日陰で過ごす。英国では特に午前11時から午後3時の間。
・衣服で肌を覆う、つばの広い帽子をかぶる、UVカットサングラスをかける。
・最低でもSPF15、スターレーティングシステム(英国で用いられているUVA防御基準)4または5の日焼け止めを使用する。日焼け止めは十分な量を使用し、定期的に塗り直す。その上で日陰で過ごし、衣服で肌を覆う。

他の人よりもリスクの高い人はいるが、日焼けをしたり皮膚がんを発症したりする可能性は誰でもあると専門家は警告しています。生まれつき肌の色が黒い人や褐色の人は日焼けしにくく、皮膚がんのリスクも低いですが、日差しが強いときは誰もが同じように注意しなければなりません。

翻訳担当者 工藤章子

監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

皮膚がんに関連する記事

ニボ+イピ併用で転移メラノーマの長期生存は劇的に改善の画像

ニボ+イピ併用で転移メラノーマの長期生存は劇的に改善

免疫チェックポイント阻害薬の併用療法を受けた転移メラノーマ(悪性黒色腫)患者のうち約半数が10年以上無がん状態で生存していることが、ダナファーバーがんセンターとウェイルコーネル医科大学...
【ASCO2024年次総会】メラノーマ:術前のニボルマブ+イピリムマブが術後療法単独より転帰を改善の画像

【ASCO2024年次総会】メラノーマ:術前のニボルマブ+イピリムマブが術後療法単独より転帰を改善

ASCOの見解(引用)「このランダム化第3相臨床試験は、メラノーマに対して術前に免疫療法を行った場合、術後にのみ免疫療法を受けた患者に比べて転帰が改善するという、複数の初期臨床...
FDAが切除不能または転移を有する悪性黒色腫にリフィリューセルを迅速承認の画像

FDAが切除不能または転移を有する悪性黒色腫にリフィリューセルを迅速承認

米国食品医薬品局(FDA)米国食品医薬品局(FDA)は、PD-1阻害抗体およびBRAF V600陽性の場合はMEK阻害薬の併用の有無にかかわらずBRAF阻害薬の治療歴のある切除不能また...
進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認の画像

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は30年以上の歳月をかけて、免疫細胞である腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocy...