FDAが転移/局所進行皮膚扁平上皮がんにセミプリマブを承認

2018年9月28日、米国食品医薬品局(FDA)は、転移性皮膚扁平上皮がん(CSCC)または局所進行皮膚扁平上皮がん患者のうち、根治的手術または根治的放射線治療の対象でない患者に対してセミプリマブ(商品名:LIBTAYO、Regeneron Pharmaceuticals Inc.社)を承認した。

今回の承認は、2つの臨床試験においてセミプリマブを用いて治療した進行皮膚扁平上皮がん患者にみられた臨床的に有意義で持続的な客観的奏効率(ORR)に基づいている。臨床試験の1つ、R2810-ONC-1423試験は、さまざまな進行固形腫瘍の患者の拡大コホートを対象にした非盲検、多施設、用量設定試験である。もう1つの臨床試験、R2810-ONC-1540試験は、以前の治療に関係なく、手術または放射線治療が推奨されなかった転移/局所進行皮膚扁平上皮がん患者を対象にした非盲検、多施設、非ランダム化、マルチコホート試験である。

転移皮膚扁平上皮がん患者については、独立審査委員会により、固形がんにおける効果判定基準(RECIST)1.1に従って客観的奏効率が評価された。局所進行皮膚扁平上皮がん患者については、デジタル画像を用いた臨床奏効規準とRECIST1.1を組み合わせた複合的な奏効評価が用いられた。

進行皮膚扁平上皮がん患者108人(転移性患者75人、局所進行性患者33人)の客観的奏効率は47%(95%CI:38,~57)であり、完全奏効率は4%、部分奏効率は44%であった。客観的奏効率は、75人の転移性皮膚扁平上皮がん患者では47%(95%CI:35~ 59)であり、局所進行皮膚扁平上皮がん患者では49%(95%CI:31~ 67)であった。奏効期間の中央値には達しなかった(範囲:1.0カ月~15.2+カ月)。奏効の61%は6カ月以上持続した。奏効率および持続性に関する結果は、進行皮膚扁平上皮がんの種類にかかわらず一貫していた。局所進行皮膚扁平上皮がん患者では、放射線画像に基づく奏効率は、写真に撮影された目視可能でしばしば見た目を損なう変形がみられる腫瘍の臨床的に有意な縮小と相関があった。

両試験でのセミプリマブ投与患者534人について、安全性データが評価された。重篤な有害反応は、免疫媒介性有害反応(肺炎、肝炎、大腸炎、副腎不全、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、真性糖尿病、腎炎など)およびインフュージョンリアクション(投与時反応)である。最もよくみられる有害反応は、疲労、発疹、下痢であった。

セミプリマブの推奨用量および用法は、3週間ごとに30分で350mgを静脈内投与するものである。

LIBTAYOの全処方情報はこちらを参照のこと。

セミプリマブは、本適応の画期的治療薬として指定され、本申請は優先審査に指定された。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は、企業向けガイダンス、重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 福原慎吾

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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