抗PD-1免疫療法は転移性メラノーマ(黒色腫)の長期生存を促進

ダナファーバーがん研究所

第1相臨床試験における転移性メラノーマ患者の3分の1が、PD-1免疫チェックポイント阻害薬である免疫療法薬ニボルマブ(オプジーボ)による治療後、5年間生存したとダナファーバーがん研究所の研究者は報告している。

2005~2011年に転移性メラノーマと診断され、免疫療法の治療歴のない患者群に比して、ニボルマブ投与患者群の5年生存率は、2倍の割合を示す。ニボルマブの第1相臨床試験は2008年に開始された。

「今回の報告は抗PD-1免疫療法の臨床試験データを初めて長期間にわたり追跡解析したもので、メラノーマ患者のある一集団では長期生存という有益性が認められ、これは大いに希望を与えてくれるものです」と、ダナファーバーがん研究所の免疫腫瘍センター兼メラノーマ治療センター長であるF.Stephen Hodi医師は述べた。

Hodi医師は、4月16~20日にニューオーリンズで開催された米国がん学会(AACR)2016年年次総会でその要約を発表した筆頭著者である。

第1相臨床試験で登録されたのは、年齢中央値61歳、5種類以下の前治療を受けた転移性メラノーマ患者107人であったが、別の免疫療法薬であるイピリムマブの治療歴はなかった。

患者は、5段階ある投与量レベルのいずれかのニボルマブ投与を2週間間隔で最長2年間受けた。本試験による初期のデータは、2014年のJournal of Clinical Oncology誌に掲載され、一部の患者では治療中断後も持続的な効果を示した。

研究者らは、患者がニボルマブ投与を初めて受けた時点から最長5年間(最短で45カ月間)、107人全員について追跡調査した。

「患者107人の5年全生存率は34%で、その割合は約4年で横ばいになりました」と、ハーバード大学医学部の准教授でもあるHodi氏は述べた。

「このことから、一部の患者群における長期的な有益性が示唆されますが、さらなる追跡により、単剤としてのニボルマブの有益性を十分に検証する必要があります」とHodi氏は述べた。

至適投与量のニボルマブ(体重1kg当たり3mg)投与を受けた患者における全生存率は、12カ月で64.7%、24カ月で47.1%、36カ月で41.2%、48カ月で35.3%であった。

その後、生存率は横ばいを維持した。全生存期間の中央値は、ニボルマブ3mg/kg投与を受けた患者の20.3カ月に対し、全患者107人では17.3カ月であった。

治療後30カ月の時点で、無増悪生存(PFS)率は、ニボルマブ3mg/kg投与を受けた患者で25.7%、全患者では18.6%であった。

「これらのデータは、メラノーマ患者の新たな標準治療として抗PD-1療法を確立するための根拠となるものであり、おそらく他のがん腫でも同様に、抗PD-1療法が標準治療として確立されていくでしょう」とHodi氏は述べた。

本試験は、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社の資金援助により行われた。

翻訳担当者 橋本奈美

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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