切除不能な黒色腫(メラノーマ)への最も効果的な一時的アプローチとしてのニボルマブに続くイピリムマブの導入療法

第2相臨床試験CheckMate064では、ニボルマブに続くイピリムマブ対イピリムマブに続くニボルマブの逐次投与による免疫療法の有効性および安全性が評価された。

議題:メラノーマ/腫瘍免疫療法

メラノーマについて免疫療法の投与の最適順序をめぐる議論は、第2相臨床試験CheckMate064(NCT01783938)からの知見により解決された可能性がある。切除不能なメラノーマを有する患者において、ニボルマブに続くイピリムマブの順序による一時投与を受けた方が、イピリムマブに続くニボルマブの逆順序による投与を受けた場合よりも、25週目までに奏効した患者が2倍以上であった。

CheckMate064試験から得られる有効性および安全性のさらなる知見は、9月25~29日にオーストリアのウィーンで開催された欧州がん学会(ECC2015)のメラノーマおよび皮膚がんの一般演題セッションにおいて、9月27日に一般演題(Proffered Papers)で発表された。

切除不能なメラノーマを有する患者における、25週目のRECIST改訂版v1.1による全奏効率(ORR)は、ニボルマブに続くイピリムマブの投与を受けた患者が41.2%(95% confidence interval [CI] 29.4%, 53.8%)であったのに対し、イピリムマブに続くニボルマブの投与を受けた患者では20.0%(95% CI 11.4%, 31.3%)であった。

ハーバード大学医学大学院医学部准教授で、ダナ・ファーバーがん研究所医学部の助教であるF. Stephen Hodi氏が、今回の第2相ランダム化臨床試験から得られた知見を発表した。この試験は毒性のリスクを最小化する一方で最大限の有効性を得るアプローチを決定するために実施された。

試験の登録基準は、ステージ3または4の切除不能なメラノーマを有し、これまで未治療または1回全身治療を受けており、ECOGのパフィーマンスステータスが0または1の患者であった。BRAFの突然変異状態にかかわらず、総計140人の患者が米国の9施設で登録され、逐次導入療法として、3 mg/kgのニボルマブ静注を2週間ごとに6サイクル、続いて3 mg/kgのイピリムマブ静注を3週間*ごとに4サイクル(コホートA:68人、ニボルマブ→イピリムマブ)投与されるコホート、または逆順序のアプローチとしてイピリムマブに続いてニボルマブを同量および同間隔(コホートB:70人、イピリムマブ→ニボルマブ)投与されるコホートに1:1の割合でランダム化された。13週目の効果にかかわらず、患者が臨床的にベネフィットを得られる場合は試験が継続された。すなわち、臨床試験の実施中の13週目の評価では増悪、安定、および部分奏効が認められる。

いずれのコホートでも2剤の導入期を完了した患者は、継続期間中に増悪または容認できない毒性が発現するまで3 mg/kgのニボルマブ静注を2週間ごとに投与された。


導入期間中は、コホートAでより高い毒性が報告された。

本試験の主要目的は、導入期間中に発現した治療関連のグレード3~5の有害事象(AE)の評価であった。治療に関連したグレード3~5の有害事象はコホートAの患者で50.0%、コホートBの患者で42.9%発現した。試験に関する、または、薬剤に関連する死亡はいずれのコホートにも発現しなかった。

継続期間を含む全研究期間にわたって、薬剤に関連するグレード3~4の有害事象は、コホートAではより高い頻度で61.8%、コホートBで47.1%と報告された。コホートAでは、最も高いグレードの有害事象が、薬剤切り替え後で、すでに両剤の投与が行われた13週目~25週目に発現した。

治療中止となるような治療関連有害事象は、ニボルマブに続くイピリムマブの投与を受けた患者では25人(36.8%)、逆順序の治療を受けた患者では22人(31.4%)で起こった。

追加の有効性評価ではコホートAが有利に

25週目での増悪した患者の割合は、コホートAでは38.2%(95% CI 26.7%, 50.8%)、コホートBでは60.0%(95% CI 47.6%, 71.5%)とコホートAの方が低かった。

完全奏効は確認されなかったものの、コホートA対Bの部分奏効は、13週目で24人(35.3%)対7人(10.0%)、25週目で28人(41.2%)対14人(20.0%)であった。コホートAでは、確定されない奏効が13週目で1人、25週目で2人認められたのに対し、コホートBでは確定されない奏効を認めた患者はいなかった。

欧州がん学会で発表された本試験で得られたデータは、進行性メラノーマ初期治療アプローチを選択するための情報提供の一助となる可能性がある。

本研究を討議したCaroline Robert博士は、今回の結果に驚いていると述べた。これまでの科学的データからはイピリムマブに続くニボルマブの方がより効果的で、臨床的安全性データはニボルマブに続くイピリムマブの方が安全だと考えられていたからである。博士は、異なるデザインでの研究がこれらの薬剤の最善な投与への理解をより深める可能性があると示唆した。

結論

著者らはこれらの知見に基づき、ニボルマブに続くイピリムマブの方がイピリムマブに続くニボルマブでの導入療法よりも効果的であり、治療関連の有害事象の発現率は導入期間中コホート間で類似していたと結論づけた。

さらに、有害事象の頻度は、ニボルマブ+イピリムマブを同時併用する過去の報告と一致していたが、効果的には、最近報告された第2相および第3相大規模臨床試験でのニボルマブ+イピリムマブ試験で報告された結果と同等の有効性ベネフィットはみられなかった。

参考文献:
23LBA An open-label, randomized, phase 2 study of nivolumab (NIVO) given sequentially with ipilimumab (IPI) in patients with advanced melanoma (CheckMate 064)

情報開示:CheckMate 064試験は、Bristol-Myers Squibb社からの出資で実施された。

【画像キャプション訳】
CheckMate 064試験:主要評価項目―導入期間中の治療関連のグレード3~5の有害事象

画像著作権:Stephen Hodi氏

*監修 者注:原文の「4 weeks」は間違いだと思われます。下記を参照に訳出いたしました。(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01783938)

翻訳担当者 太田奈津美

監修 野長瀬祥兼(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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原文掲載日 

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