FDAが切除不能または転移性のBRAF V600野生型メラノーマ患者に対しニボルマブとイピリムマブの併用療法を承認
米国食品医薬品局(FDA)ニュース
2015年9月30日、米国食品医薬局(FDA)はBRAF V600野生型で切除不能または転移性の悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象とした、ニボルマブ(商品名:オプジーボ注射剤、ブリストル・マイヤーズスクイブ社)とイピリムマブ[ipilimumab](商品名:ヤーボイ)の併用療法を迅速承認した。
今回の承認は、未治療の切除不能または転移性のBRAF V600野生型メラノーマ患者を対象とした、国際多施設共同ランダム化二重盲検実薬対照二群間試験で、客観的奏効率の向上、奏効期間の延長および無増悪生存期間の改善が認められたことに基づいている。
試験では、142人の患者を、ニボルマブ+イピリムマブ投与群(n=95)とイピリムマブ+プラセボ投与群(イピリムマブ群、n=47)に2:1の割合で無作為に割り付けた。無作為化は、FDA承認済みの検査に基づいたBRAF V600変異状態により層別化した。ニボルマブ+イピリムマブ群の患者には、ニボルマブ1mg/kgとイピリムマブ3mg/kgを3週間に1回、4回静脈内投与したあと、ニボルマブ3mg/kgを隔週投与した。投与は、病状が進行するか、容認できない毒性が現れるまで継続した。イピリムマブ群の患者には、イピリムマブ3mg/kgとプラセボを3週間に1回4回静脈内投与したあと、プラセボを投与した。イピリムマブ群の患者では、病状の進行が認められた時点で、ニボルマブ3mg/kgを隔週投与した。
BRAF V600野生型メラノーマ患者109人の年齢中央値は66歳で、ECOGパフォーマンスステイタスは0(84%)または1(15%)であった。患者の46%がM1cの病状にあり、20%で試験開始時にLDH値が上昇していた。
試験では客観的奏効率の有意な改善が示された。ニボルマブ+イピリムマブ群(n=72)の奏効率は60%[95% confidence interval (CI):48, 71]で、イピリムマブ群(n=37)の11%[95% CI:3, 25]に対して、49%(95% CI:31, 61; p-value <0.001)の改善が認められた。ニボルマブ+イピリムマブ群で奏効が認められた43人の患者のうち9人(21%)は、奏効期間が3~7カ月の後に病状が進行し、死亡または別の治療を受けた。残りの34人(79%)は、最終分析の時点で奏効が継続しており、その時点の奏効期間は、14人が6カ月以上9カ月未満、20人が9カ月以上であった。また、併用群は、イピリムマブ群と比較して、無増悪生存期間の有意な改善が認められ[HR 0.40 (95% CI:0.22, 0.71); p-value < 0.002]、推定無増悪生存期間中央値はそれぞれ8.9カ月と4.7カ月であった。
ニボルマブまたはイピリムマブを1回以上投与したBRAF V600野生型または変異陽性メラノーマ患者140人には、重篤な副作用(62%対39%)、投与の中止につながった副作用(43%対11%)、投与遅延につながった副作用(47%対22%)およびグレード3または4の副作用(69%対43%)が認められた。いずれの副作用も、併用療法(n=94)のほうがイピリムマブ単独投与(n=46)より発生頻度が高かった。併用療法を受けた患者に最も多くみられた重篤な副作用は、大腸炎(17%)、下痢(9%)、発熱(6%)および肺臓炎(5%)であった。そのほか臨床的に重大な免疫性副作用として、肺臓炎、肝炎、内分泌疾患、腎不全および発疹などがみられた。
ニボルマブ+イピリムマブの投与を受けた患者に頻繁にみられた副作用(20%以上)は、発疹、掻痒(かゆみ)、頭痛、嘔吐および大腸炎であった。併用療法を受けた患者の5%以上に発生し、最も頻度が高いグレード3または4の臨床検査値の異常所見は、ALT増加、AST増加、リパーゼおよびアミラーゼの増加、低ナトリウム血症およびリンパ球減少であった。
併用療法を実施する際の推奨用量および投与スケジュールは、ニボルマブ1mg/kgを60分かけて点滴静注した後、同日にイピリムマブを投与し、これを3週間に1回、4回実施することである。引き続くニボルマブ単剤の推奨用量は、3mg/kgの60分での点滴静注で、病状が進行するか、容認できない毒性が現れるまで隔週投与する。
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