メラノーマ、口腔がん、脳転移および小児がんに対する治療の進歩
プレナリーセッションで発表された試験結果により、がん患者ケアにおける長年の疑問への答えが明らかになり、小児がん患者の生命予後が大きく改善したことがはっきりした
米国臨床腫瘍学会(ASCO)第51回年次総会で本日発表された知見は、小児がん生存者に対する非積極的治療の影響、口腔がんに対する外科手術の最適なタイミング、そして脳転移患者への全脳照射の使用に関して、待望かつ決定的な解答となった。もう1つの試験は、メラノーマ(黒色腫)患者に対する強力な新規免疫治療オプションを示している。これら4試験の結果は、ASCOプレナリーセッションで発表された。つまり、これらは患者ケアに影響を与える可能性が最も高い研究として位置づけられたのである。
これらの進歩は、直ちに米国でのがんの日常臨床に影響し、患者の生存率およびQOL改善につながると期待される。加えて、口腔がん手術における知見は、発症が特に多いアジアや他の地域の人々にまで及ぶ広範なベネフィットをもたらすと考えられる。2つの臨床試験はNIHを通した資金提供を受けた。
「医学の非常に大きな進歩にもかかわらず、積極的治療のベネフィットが、発現の可能性のある副作用を凌ぐときがあることをいまだに理解しない医師もいます」。ASCO専門医のJyoti D. Patel医師は話した。「本日報告された試験から、手術適応の口腔がん患者、または放射線照射適応の脳転移患者に対する決定的な解答を、われわれはついに得ました。同時に、非積極的治療が小児がん生存者にとって大きな実を結んでいるのは明らかです。従来の治療アプローチを一変させた、最近のメラノーマに対する免疫治療の進展とともに、本日の知見は現在進行中の臨床試験の必要性を強調するものでした。今日得られた結論は、ある患者群では、2種類の薬剤併用による付加的な副作用を避け、1種類の治療のみで十分であるということを強固にしました」。
試験結果は以下である:
- ニボルマブによる初回治療がメラノーマの進行を止めることが第3相試験において明らかに-治療歴のない進行性メラノーマ患者の進行の抑制という点において、イピリムマブ[ipilimumab]単独療法に比べ、ニボルマブ単独療法とニボルマブ/イピリムマブ併用療法はいずれも有意に有効であった。この試験は、免疫チェックポイント阻害薬の併用とイピリムマブの単剤使用を比較した初めての第3相試験である。
- 治療の改善により1970年代以降の小児がんサバイバーの寿命が延長-30年にわたり治療を続けた34,000例以上の小児がんの5年生存者に関する解析により、現代治療は長期死亡率を低下させたことが分かった。そうした進歩の一因は、心肺疾患関連死亡率だけでなく二次がんの死亡率を低下させた、洗練された治療アプローチにある。
- 予防的な頸部リンパ節手術で早期口腔がんの生存が改善-第3相ランダム化試験により、早期口腔がん患者に対する選択的頸部リンパ節郭清はがん再発のリスクを低下させ、生存期間を改善させることが分かった。口腔がんは世界中で発症しているが、タバコ消費量の高い国で特に多い。
- 脳転移病変が小さく数も少ない患者では全脳照射の追加によるリスクがベネフィットを上回る-1~3個の小さい脳転移病変を有する患者において、定位放射線照射後に全脳照射を受けた患者が認知機能低下を呈する可能性は、定位放射線照射のみを受けた患者より高かった。
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