イピリムマブがステージIIIメラノーマの治療を改善
キャンサーコンサルタンツ
免疫調節薬であるイピリムマブ(Yervoy)をステージIIIのメラノーマ患者に投与する初めての臨床試験で、イピリムマブは有望で、癌の再発を遅らせ、生存期間を改善することを示した。
皮膚癌は米国で最も多く認められる癌であり、毎年100万例以上の新たな症例が報告されている。皮膚癌は、しばしばメラノーマと非メラノーマの2つに大別される。非メラノーマ皮膚癌はさまざまな種類の皮膚癌を指すが、最も多くみられるものは基底細胞癌および有棘細胞癌である。
メラノーマ皮膚癌は非メラノーマ皮膚癌に比べると多くはないが、より悪性度が高い傾向がある。毎年100万人以上の新たに皮膚癌と診断される患者のうち、およそ68,000人がメラノーマである。米国では毎年8,000人以上がメラノーマにより死亡している。メラノーマが危険な理由は、体の他の部位に広がる(転移する)可能性が、他の皮膚癌より高いためである。メラノーマは体のどこにでも発生する。メラノーマの最初の徴候は、ほくろの外観の変化や出血、複数の色が混在していることや、不規則な形をしていることである。
ステージIIIのメラノーマに対する標準治療は、通常、癌の切除手術である。手術のみの治療では多くの患者で再発することから、医師は転帰を改善するための適切な術後治療を模索している。
イピリムマブは進行性メラノーマの治療用に承認されたモノクローナル抗体である。イピリムマブはCTLA4として知られる分子を標的にする。CTLA4はT細胞の表面にあり、免疫反応を阻害すると考えられている。イピリムマブは、この分子を標的にして、腫瘍細胞に対する免疫系の反応を強める可能性がある。イピリムマブは2011年3月に切除不能または転移性メラノーマの治療用に承認された。
今回の試験では、ステージIIIの皮膚メラノーマの完全切除術を受けた18歳以上の患者951人にプラセボかイピリムマブのどちらかを投与し直接比較した。イピリムマブの投与は初めの4回は3週間ごと、その後は3カ月に1回行い、最長3年間か、再発、容認できない毒性が現れるまで行った。
イピリムマブを補助療法として使用した場合、第3相試験開始から2.7年後時点(追跡期間の中央値)で、メラノーマの再発リスクが低下し、生存期間も改善した。イピリムマブを投与した全患者の46%で再発はみられなかったのに対し、プラセボで再発がみられなかったのは35%であった。無再発生存期間の平均はイピリムマブで26.1カ月、プラセボでは17.1カ月であった。
ステージIIIメラノーマの治療に使用した場合にイピリムマブが患者の転帰を改善することの証明は、より早期のステージのメラノーマの管理において、ここ数年で初めての著しい前進であった。追加的な臨床試験では、ステージIIの患者を対象としてイピリムマブを評価し、また、他の新規のメラノーマ療法と併用したとき転帰がさらに改善されるかどうか探索する。
参考文献:
J Clin Oncol 32:5s, 2014 (suppl; abstr LBA9008)
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