メラノーマ予測ツールにより免疫療法薬の選択が可能に

研究概要

研究タイトル:ゲノム異質性と倍数性により転移性メラノーマ(悪性黒色腫)でのPD-1阻害薬に対する内因性抵抗性患者を特定

掲載誌:Science Advances
著者(ダナファーバーがん研究所):Giuseppe Tarantino博士、 David Liu医師、公衆衛生学修士

概要:以前の研究で、ダナファーバーの研究者らは、腫瘍のゲノム異質性(腫瘍が新しい変異を発現する傾向)とゲノム倍数性(細胞内の染色体数の指標)の低さによって、抗PD-1療法での免疫チェックポイント阻害薬に対する抵抗性を予測できることを発見した。本研究では、その研究を基に、ゲノム異質性と倍数性を使用して抗PD-1療法に対する抵抗性を予測する予測機械学習モデルを開発している。臨床研究者と計算生物学者のチームは、2つの臨床試験を含む4つのコホートにおいて、このモデルを改良し、検証した。解釈可能な機械学習アルゴリズムでは、シンプルな決定木を使用して、どの患者が抗PD-1療法での免疫チェックポイント阻害薬に抵抗する可能性が高いかを確実に予測する。13名の患者からなる小グループでさらに評価したところ、単剤療法に抵抗すると予測された患者の43%で併用療法が奏効し、このツールで患者が利益を得る可能性が示唆された。今後は、このツールがメラノーマ患者の治療法選択の指針となり、転帰を改善するかどうかを判断するため、同ツールを使用して既存の臨床シーケンス検査と組み合わせた前向き研究を実施する。

意義:免疫チェックポイント阻害薬は進行性メラノーマ患者の転帰を劇的に改善した。患者に対する選択肢には、免疫チェックポイント阻害薬の単剤療法または2種類の免疫チェックポイント阻害剤の併用療法がある。併用療法はより高い奏効率をもたらすが、毒性が著しく増加する。現在、医師が2つの選択肢を選ぶ上で役立つバイオマーカーはない。本研究では、単剤療法では予後が悪くなるが、併用療法では利益を得る可能性のある患者を予測することにより、これら2つの選択肢を選ぶ上で利用可能な予測ツールについて解説する。

資金提供:国立衛生研究所、ブリストル マイヤーズ スクイブ、ドリス デューク慈善財団、アメリカイタリア癌財団。

  • 監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター )
  • 記事担当者 仲里芳子
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  • 原文掲載日 2024/11/27

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