FDA が進行皮膚癌に新治療薬Yervoyを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年3月25日
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FDA が進行皮膚癌に新治療薬Yervoyを承認
本薬剤によりメラノーマ患者の生存期間が延長

米国食品医薬品局(FDA)は、皮膚癌の中でも最も悪性度の高い進行した(転移性)メラノーマの治療薬として、本日Yervoy(イピリムマブ)を承認した。

メラノーマは皮膚疾患による死因の第1位をしめる。米国国立癌研究所によれば、米国では2010年一年間で新たにメラノーマと診断された患者は推定68,130人で、そのうち約8,700人が死亡した。

「進行したメラノーマは治療選択肢が非常に限られていることから深刻な疾患であり、これまでに患者の延命に寄与した薬剤は存在しない」とFDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師は述べた。「Yervoyは転移性メラノーマ患者の生存期間の延長を明示した最初のFDA承認薬である。」

Yervoy は、細胞傷害性Tリンパ球抗原(CTLA-4) として知られている分子の機能を阻害するモノクローナル抗体である。CTLA-4は身体の免疫反応の抑制あるいは消失に関与するとみなされ、癌細胞を撃退する能力に影響を与える。Yervoyは、身体の免疫系がメラノーマ 細胞を認識し標的として攻撃することで作用するとみられる。本剤は静脈内に投与される。

Yervoyの安全性および有効性は、メラノーマ患者676人を対象とした単一の国際試験において確立された。本試験に参加した全ての患者は、メラノーマに対する他のFDA承認薬または一般に使用されている治療薬に反応を示さなくなった状態であった。また参加者の疾患は転移したか、あるいは外科的手段で切除不能な場合のどちらかであった。

本試験は、治療開始から死亡までの期間である全生存期間を評価するために設計された。無作為に割り付けられた患者は、Yervoyと試験段階の腫瘍ワクチンgp100との併用投与、Yervoy単独投与、あるいはワクチン単独投与を受けた。

Yervoyとワクチンの併用投与またはYervoy単独投与を受けた患者の生存期間中央値は約10カ月であったのに対し、試験段階のワクチンの単独投与のみを受けた患者の場合では6.5カ月であった。

Yervoy投与に関連した自己免疫反応による最も頻度の高い副作用は、倦怠感、下痢、皮疹、内分泌不全(分泌腺、あるいはホルモン)、および腸の炎症(大腸炎)であった。重度から致死的に至る自己免疫反応は Yervoy投与を受けた患者の12.9%においてみられた。重度の副作用が発症した時点でYervoy の投与を中止し、副腎皮質ステロイド治療を開始した。本治療に反応を示さなかった患者も中には存在した。反応を示した患者の一部においても、その改善がみられるまで数週間を要した場合もあった。

Yervoy投与により稀で重度の副作用が発症したことから、医療従事者にこれらの重篤なリスクについて情報提供できるように、本治療はリスク評価・軽減戦略(REMS: Risk Evaluation and Mitigation Strategy)を適用して承認された。患者向け医薬品ガイド(medication guide)には本治療による潜在的な副作用についての情報提供も含まれる。

Yervoyは、ニューヨークに拠点を置くブリストル・マイヤーズ・スクイブ社が販売している。

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栃木 和美 訳
辻村 信一(獣医学/農学博士、メディカルライター)監修 
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原文

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