開発中のメラノーマ治療薬、第3相試験で腫瘍を縮小

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第3相臨床試験で、試験研究中のT-VEC(talimogene laherparepvec)が、進行メラノーマの患者に持続的奏効をもたらした。これらの結果は米国臨床腫瘍学会(ASCO)の2013年年次総会で発表された。

毎年新たに診断される100万件以上の皮膚癌のうち、およそ76000件がメラノーマを伴い、米国では毎年9000人以上がメラノーマによって死亡している。メラノーマは他の皮膚癌よりも体内の他の部位に拡がり(転移し)やすいために危険である。近年ではこの疾患への治療における有意義な進展が見られるが、研究者らはより効果的な新薬を探求し続けている。

T-VECは癌細胞を破壊するための特殊なウィルスを用いた免疫療法の一種である。同薬は腫瘍に直接注入され、腫瘍の中で局所的に活動した後、体内の他の部位にある癌細胞に対して免疫反応を引き起こす仕組みになっている。

進行したメラノーマの治療としてT-VECを評価するために、研究者らは400人以上の被験者による第3相試験を行った。患者は切除不能なIIIB期、IIIC期、またはIV期のメラノーマを罹患していた。患者はT-VECもしくはGM-CSFのいずれかの治療を最長18カ月間受けた。

有効性を見るための主要エンドポイントは持続的奏効(癌の部分消失もしくは完全消失が、少なくとも6カ月継続すること)であった。

・持続的奏効はT-VEC群患者の16%とGM-CSF群患者の2%で起こった。T-VEC群ではIII期のメラノーマ患者に、最も高い頻度で持続的奏効が現れた。
・T-VEC群患者の奏効率は26%であり、GM-CSF群では6%であった。
・T-VECによって現れた最も頻度が高い副作用は倦怠感、悪寒、および発熱であった。

これらの結果からT-VECが進行度の高いメラノーマに対して活性を持つことが分かる。研究の被験者らはT-VECの全存在期間に与える影響を評価するために、引き続きフォローアップを受けることになる。現在T-VECによって全存在期間が改善する傾向にあるが、最終的な生存結果を評価するためにはより長期的なフォローアップが必要である。

参考文献:

Andtbacka RHI, Collichio FA, Amatruda T et al. OPTiM: A randomized phase III trial of talimogene laherparepvec (T-VEC) versus subcutaneous (SC) granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF) for the treatment (tx) of unresected stage IIIB/C and IV melanoma. Presented at the 49th Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology. May 31-June 4, 2013; Chicago, IL. Abstract LBA9008.


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翻訳担当者 新保孝史

監修 林 正樹 (血液・腫瘍内科/社会医療法人敬愛会中頭病院)

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