皮膚の再発性扁平上皮癌の治療にセツキシマブが奏効
キャンサーコンサルタンツ
2007年7月
ワシントン大学の研究者らの報告によると、皮膚の再発性扁平上皮癌の高齢患者2名の治療にセツキシマブが奏効した。今回の試験の詳細は2007年7月号のArchives of Dermatology誌に掲載された。
セツキシマブは、上皮成長因子受容体(EGFR)の細胞外ドメインに結合するキメラ・モノクローナル抗体である。セツキシマブは、現在、放射線療法と併用する場合は局所もしくは局部進行頭頸部癌の治療薬として、単独で使用する場合は、プラチナ製剤ベースの前治療歴がある、EGFR発現の進行頭頸部癌の治療薬として承認されている。また、Camptosar(イリノテカン)ベースの前治療歴がある、EGFR発現の転移性結腸直腸癌患者に対してCamptosarRと併用する治療薬として、もしくは、Camptosarベースの療法に適しない、EGFR発現の進行結腸直腸癌患者に対して単独で使用する治療薬としても承認されている。セツキシマブの評価は、さまざまな癌治療の臨床試験において引き続き実施されている。
扁平上皮癌患者の大半は手術で治癒する。再発した扁平上皮癌患者には、シスプラチン(PlatinolR)ベースの化学療法で治療が施される。しかしながら、扁平上皮癌は重大な併存疾患を抱えている高齢患者に発症することが多く、積極的な治療が困難となる。今回の試験では、再発した扁平上皮癌患者2名にセツキシマブを単独で用いて治療を行った。1名は16週で完全奏効が、もう1名は12週でほぼ完全奏効が認められ、両名共に良好な反応を示した。いずれのケースにおいても反応は4週で現れた。副作用として患者1名に発疹が出た。
コメント:
セツキシマブの単独使用は、重大な副作用をもたらすことなく皮膚の再発性扁平上皮癌患者に顕著な活性を示すと思われる。今回の所見から、患者によっては手術の創傷痕が残らない治療をより早い時期に行うことが可能となるかもしれない。
参考文献:
Bauman JE, Eaton KD, Martins RG, et al. Treatment of recurrent squamous cell carcinoma of the skin with cetuximab. Archives of Dermatology. 2007; 143:889-898.
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