ペムブロリズマブによる重篤な皮膚反応

ペムブロリズマブの治療を受けた患者で報告されたスティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症の致死的症例

・日付:2017年5月16日

・トピック:緩和および支持療法/がん免疫および免疫療法

2017年5月10日、連邦内務省スイス医薬品局であるSwissmedicは、MSD社(Merck Sharp&Dohme AG)の報告を受けて、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の治療による重篤な皮膚反応、特にスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)の致死的症例について公表した。

レターでは、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の危険性を含めた、ペムブロリズマブの危険性および有用性について患者と相談する必要性について述べている。スティーブンス・ジョンソン症候群や中毒性表皮壊死症の徴候や症状がみられた場合、ペムブロリズマブを中止し、ただちに評価および治療のために患者を専門医にみせるべきである。

中毒性表皮壊死症とスティーブンス・ジョンソン症候群は、紅斑を伴う過敏斑が特徴であり、水疱(すいほう)や皮膚の剥離(はくり)に進展する。典型的なものは、粘膜に病変が出現する。皮膚症状は、羞明(しゅうめい・光をまぶしく感じること)、感染症および発熱などの段階が先行することが多い。

スティーブンス・ジョンソン症候群および中毒性表皮壊死症が確認されれば、ペムブロリズマブの治療は永久に中止すべきである。

ペムブロリズマブの製品特性の概要は、その結果に応じて変更される。この情報は、Swissmedicとの協議に基づいている。

安全性関連の背景情報

MSD社は最近、臨床試験および市販後にペムブロリズマブが関係したスティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症の症例レビューを行った。スティーブンス・ジョンソン症候群は8人(臨床試験で6人、市販後事例で2人)、TENは2人(ともに市販後)であり、すべての報告例が重篤であった。

ペムブロリズマブは、臨床試験で約11,000人の患者に投与され、発売後に約27,000人の患者に投与された。

収集したデータに基づき、かつ診断の重篤さゆえ、MSDはペムブロリズマブによる治療とスティーブンス・ジョンソン症候群 /中毒性表皮壊死症発生の間に関連がありうるという結論に達した。

本レターはペムブロリズマブの安全性情報に関する包括的なものではない。医療従事者や患者に対するペムブロリズマブに関するすべての処方情報と研修資料を考慮に入れて下さい。製品特性の概要、医療従事者向けの情報、患者向け小冊子、患者カードの関連項目では、スティーブンス・ジョンソン症候群と中毒性表皮壊死症に関する情報を注意喚起する予定である。

医療従事者や患者は、ペムブロリズマブの治療下で発生する望ましくない効果を報告すべきである。有害な薬物反応の報告に際し、Swissmedicでは、その目的で開発されたポータルサイトの使用を推奨している。

翻訳担当者 橋本奈美

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院、血液内科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん治療に関連する記事

米FDA、点滴に代わる注射用ニボルマブを承認の画像

米FDA、点滴に代わる注射用ニボルマブを承認

皮下注製剤ニボルマブが、米国食品医薬品局(FDA)の承認を得た。この承認により、静脈内( IV)注射で投与される元の製剤の適用となっている同じ患者グループのほとんどに、皮下注製剤を使用...
【ASH24】モノクローナル抗体ELA026が、悪性腫瘍関連血球貪食性リンパ組織球症の生存期間を改善の画像

【ASH24】モノクローナル抗体ELA026が、悪性腫瘍関連血球貪食性リンパ組織球症の生存期間を改善

新たに診断された悪性腫瘍関連血球貪食性リンパ組織球症患者を対象とした第Ib相試験で、100%の奏効率を確認悪性腫瘍関連血球貪食性リンパ組織球症(mHLH)(まれで悪性度が高く、過剰な炎...
安全性に関する声明:米FDAがカペシタビン/5FU投与前にDPD欠損症について話し合う重要性を強調の画像

安全性に関する声明:米FDAがカペシタビン/5FU投与前にDPD欠損症について話し合う重要性を強調

米国食品医薬品局(FDA)がこの通知を行う目的は、ジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)欠損症に伴うリスクに関するカペシタビンおよびフルオロウラシル(5-FU)製品ラベルの更新を周知さ...
一部のメラノーマ、乳がん、膀胱がんで術前/術後の免疫療法薬投与により長期生存が改善の画像

一部のメラノーマ、乳がん、膀胱がんで術前/術後の免疫療法薬投与により長期生存が改善

体の免疫系ががん細胞を認識して破壊できるようにすることで効果を発揮する免疫療法薬により、進行メラノーマ(悪性黒色腫)患者の長期全生存率が改善したという大規模国際共同試験の結果がESMO...