安全性に関する声明:米FDAがカペシタビン/5FU投与前にDPD欠損症について話し合う重要性を強調
米国食品医薬品局(FDA)がこの通知を行う目的は、ジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPD)欠損症に伴うリスクに関するカペシタビンおよびフルオロウラシル(5-FU)製品ラベルの更新を周知させることである。すべての医療従事者は、DPD欠損症のリスクを認識し、DPD欠損症による重篤で生命を脅かす毒性の可能性について治療前に患者に説明し、DPD欠損症の検査オプションについて患者と話し合う必要がある。
フルオロピリミジンは、フルオロウラシル(5-FU)および5-FUのプロドラッグであるカペシタビンを含む抗がん剤のクラスである。DPYD遺伝子は、フルオロウラシルの80%以上を分解する酵素DPDをコードする。DPYD遺伝子の特定のホモ接合性または複合ヘテロ接合性の変異体を持つ患者は、DPD活性が完全にまたはほぼ完全に欠如していることが知られており(完全なDPD欠損)、急性の早期発症毒性および重篤な(致死的を含む)副作用(粘膜炎、下痢、好中球減少症、神経毒性など)のリスクが高くなる。部分的なDPD活性を持つ患者(部分的なDPD欠損)も、重篤な(致死的を含む)副作用のリスクが高くなる。
プロジェクト・リニューアル
FDA腫瘍学センターは、プロジェクト・リニューアルの一環として、ゼローダ(カペシタビン錠)の製品ラベルを更新し、DPD欠損症に関する追加情報と、DPD欠損症について患者と話し合うことの重要性を記載した。安全性ラベルの変更により、5-FUラベルが更新され、ゼローダと同じDPD欠損症に関する情報が記載された。両薬剤の製品ラベルには、次のように記載されている。
- カペシタビンまたはフルオロウラシルは、DPD完全欠損症を引き起こす特定のホモ接合性または複合ヘテロ接合性のDPYD変異体を持つことが判明している患者には使用を推奨されない。DPD完全欠損症の患者に対して安全であることが証明されている用量はない。
- 部分的DPD欠損症の患者に特定の投与量を推奨するにはデータが不十分である。
- すべての医療提供者は、DPD欠損症による重篤で生命を脅かす副作用の可能性について患者に知らせる必要がある。医療提供者は、カペシタビンまたは5-FUの使用による重篤な副作用のリスク増加に関連する遺伝子変異について患者を検査する必要があるかどうかについて患者と話し合う必要がある。
- 医療提供者は、重篤な副作用のリスクを軽減するために、カペシタビンまたはフルオロウラシルの投与を開始する前に検査を検討する必要がある。
- 医療提供者は、DPD欠損症による有害反応に関連する徴候や症状を認識し、重度の粘膜炎、下痢、好中球減少症、神経毒性などの副作用が発生した場合は、直ちに医療提供者に連絡するよう患者にアドバイスする必要がある。
- 医療提供者は、急性早期発症または異常に重篤な反応の証拠がある患者において観察された有害反応の発現、持続期間および重症度の臨床評価に基づいて、カペシタビンまたは5-FUの投与を控えるか、永久に中止する必要がある。これは、DPDの完全欠損を示唆している可能性がある。
- 4つのDPYD変異体は白人集団におけるDPD活性の低下と関連付けられており、1つの変異体はアフリカ系の人々におけるDPD活性の低下と関連付けられていた。
DPD欠損症に関する追加情報についてはゼロータおよび 5-FUの全処方情報(セクション5、12.5、および17)を参照 。
FDAは、この安全性の問題を引き続き監視し、カペシタビンおよびフルオロウラシルの安全性に対するDPD欠損症の変化と影響を評価し、追加の規制措置を検討する。FDAは、患者と医療提供者に、カペシタビンまたは5-FU製品に関連する副作用を FDA MedWatchプログラムに報告するよう求めている。
- 監修 下村昭彦(腫瘍内科/国立国際医療研究センター病院乳腺・腫瘍内科)
- 記事担当者 仲里芳子
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- 原文掲載日 2025/01/24
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