CAR-T細胞療法後の非再発死亡率抑制には主因である感染症の予防が重要

ダナファーバーがん研究所

研究概要

研究タイトル

CAR-T細胞療法後の非再発死亡率に関する系統的レビューとメタアナリシス

掲載紙

Nature Medicine誌

著者(ダナファーバーがん研究所)

David M. Cordas dos Santos医師、Irene M. Ghobrial医師、Jean-Baptiste Alberge博士

要約

ダナファーバーがん研究所の研究者らは、ニューヨークのスローン・ケタリング記念がんセンター(Kai Rejeski博士)およびドイツ・ミュンヘンのLMU病院(Tobias Tix博士)と共同で、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法を受けた患者において、感染症が非再発死亡率の主な要因であることを明らかにした。研究チームは、18の臨床試験と28のリアルワールド(臨床試験ではない、実際の診療現場)研究で7,604人の患者から得た報告を分析した。報告された非再発関連死の半数は感染症であった。その他のがんは7.8%で2番目に多い原因であった。心血管系または呼吸器系イベントは7.3%で3番目であった。サイトカイン放出症候群や神経毒性など、CAR-T細胞療法に特有の副作用は軽微であった。重要なことは、非再発死亡率は、研究の主要な特徴を考慮した場合でも、基礎疾患および特定のCAR-T細胞製剤と関連していたことである。

意義

CAR-T細胞療法に伴うリスクや、サイトカイン放出症候群や神経毒性などのCAR-T細胞療法特有の副作用の管理に多くの注目が集まっている。本研究は、感染症が再発に関連しない死亡において重要な役割を担っていることを明らかにし、CAR-T細胞療法後の感染症の予防と管理に関する情報を提供する包括的でエビデンスに基づいたガイドラインが緊急に必要であることを示唆している。

資金提供

The German Cancer Consortium、Deutsche Forschungsgemeinschaft (DFG, German Research Foundation)、Munich Clinician Scientist Program、Bruno and Helene Jöster Foundation、Bavarian Cancer Research Center、米国国立衛生研究所/米国国立がん研究所、Arnold Ventures

  • 監訳 吉原哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)
  • 翻訳担当者 青山真佐枝
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  • 原文掲載日 2024/07/08

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