身長の高い女性で癌発症リスクが大きい可能性

キャンサーコンサルタンツ

高身長の女性には、特定の種類の癌を発症するリスクが高い可能性がある。全体的に見て、身長が4インチ(約10cm)高くなるごとに、癌のリスクは16%上昇する。これらの調査結果は最近、Lancet Oncology誌で報告された。

身長と癌発症リスクに対するより深い洞察は、研究者が癌を引き起こす基礎的機構について理解を広げるのに役立つ可能性がある。これまでの研究では、高身長の人は癌発症について全体的により大きい発症リスクを持つことが示されていた。しかしながら、身長が特定の種類の癌とどのような関連があるか、また喫煙や社会経済的地位などの他の要素がこの関連性に影響しているのかどうかについては、いまだ明らかではなかった。

高身長に関連した癌の発症リスクをさらによく理解するため、英国の研究者が100万人以上の女性について検討した。約9年間の追跡調査期間中に9万7000件以上の癌が研究参加者において診断された。検討された中には、17種類の異なる癌種が含まれていた。

  • 検討された17種類の癌種のうち10種類が身長と関連していた。10種類の癌種は、乳癌、肺癌、大腸癌、子宮内膜(子宮)癌、卵巣癌、腎臓癌、直腸癌、白血病、非ホジキンリンパ腫および黒色腫であった。
  • 身長と癌発症リスクとの関連性は、社会経済的地位には影響されなかった。
  • 喫煙者において身長は、喫煙関連癌の発症リスクにはほとんど影響はなかった。
  • これらの検討結果を世界の他の地域の成績と比べると、身長と癌の発症リスクとの関連性は、いずれの対象集団でも類似していた。

高身長は、多くの癌種について、高い発症リスクにつながるように見える。すなわち、癌発生の裏にある共通の基礎的な発症機構を示している。しかしながら研究者は、高身長の女性が癌の発症リスクについてあまり心配する必要はなく、低身長の女性も警戒を怠らないように注意している。要約すると、すべての女性が身長にかかわらず、癌を予防する生活様式を選択し、定期的な検診をうけることで、恩恵を受けることができる可能性がある。

参考文献:

Green J, Cairns BJ, Casabonne D, et al. Height and cancer incidence in the Million Women Study: Prospective cohort, and meta-analysis of prospective studies of height and total cancer risk. The Lancet Oncology [early online publication]. July 21, 2011.


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翻訳担当者 林 くれは 

監修 辻村 信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)

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