肥満とがんの研究結果について、ASCO会長の声明

肥満とがんの新たな知見について、米国臨床腫瘍学会(ASCO)会長Monica M. Bertagnolli医師(ACS、FASCO)による声明

「肥満に関係するがんの発生率は若年成人で特に急激に上昇していますが、本調査結果を警鐘として、年齢層にかかわらず、すべての米国人に対して、肥満が一般的ながんのリスク増加に関連していることを示さなければなりません。もし現状が続くのであれば、2030年までに米国で、肥満によってがん患者が毎年50万人以上増えると推測されます。

 肥満は、喫煙を抜いて予防可能ながん関連死の死因第1位になろうとしていますが、米国国民の間では肥満とがんの関連が驚くほど知られていません。ASCOの2018年国民がん意識調査(National Cancer Opinion Survey)から、米国人の80%は喫煙ががんの危険因子であることを知っている一方、肥満も主な危険因子であると認識している人はわずか35%であることがわかりました。

 われわれは肥満ががんの危険因子であることをすべての年齢の人に教育し、がん発症の可能性を低下させるためにできる方策を彼らに伝える必要があります。ASCOでは、医師が患者に健康体重を維持する重要性を教育し、ケアするのに役立つ資源を提供しています。また、肥満とがんに関する情報を医学会、患者向けウェブサイトCancer.Net、雑誌および他の方法を介して共有しています。

 さらに、米国の肥満のまん延に対処し、いろいろながんとの関連を理解するために、さらに研究が必要とされます。今週、ASCOは初の「がんとの闘いを加速するための再優先研究課題」リストを発表しました。ASCOはその最優先課題の中でも、肥満の減少および肥満ががん発症および転帰に及ぼす影響を今後の研究の焦点とする重要分野としました。

 われわれは肥満のまん延とがんが米国だけでなく世界的な問題であることも認識すべきです。ASCOは世界対がんデーに世界がん共同体に参加し、研究および質の高い患者ケアにより世界的ながん負担を軽減することをわれわれの責務として再確認します」。

翻訳担当者 木下秀文

監修 東海林洋子(薬学博士)

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