健康・フィットネス関連のスマートフォンアプリ

MDアンダーソン OncoLog 2016年9月号(Volume 61 / Issue 9)

 Oncologとは、米国MDアンダーソンがんセンターが発行する最新の癌研究とケアについてのオンラインおよび紙媒体の月刊情報誌です。最新号URL

House Call:健康・フィットネス関連のスマートフォンアプリ

スマートフォンを持っている人なら誰でも、アプリ(アプリケーション)を使っているだろう。オンラインショッピングやゲームなどのレジャーを対象としたアプリが多い一方で、健康増進に使えるアプリもある。がんサバイバーに特に役立つアプリもみつかるかもしれない。

アプリを始めるには

アプリを選ぶときには、注意しなければならないことがいくつかある。まず値段だ。多くのアプリは無料だが、有料のものもある。なかにはダウンロードは無料でも特別な機能へのアクセスに課金されるアプリもある。アプリにお金を払う前に、アプリ使用者のレビューをチェックして、そのアプリを気に入っているか見てみるとよい。

アプリを選ぶときの重要なポイントには他に、データ通信の方法がある。アプリはウェブコンテンツをアップしたり、ダウンロードしたりすることが多い。スマートフォンは、Wi-Fi環境にないときにモバイルデータ通信を使ってこのタスクを実行しようとする。通信量が小さいうちはいいのだが、モバイルデータ通信を使ってアプリを使用するとすぐに通信量がかさみ、高額になってしまう。

また、アプリとそのデータがスマートフォン内で大容量を占めることもある。

アプリの種類

運動と栄養摂取を管理するアプリ

「MapMy-フィットネス」は人気のトレーニング記録アプリで、スマートフォンに内蔵されたGPSを使って走行・歩行・自転車走行のコース、速度、標高変化や消費カロリーを記録する。このアプリの使用法はとても簡単だ。ダウンロードして自分のアカウントを登録後、アプリを立ち上げて記録をオンにし、トレーニング中携帯すればいいだけだ。同じシリーズで使用目的をもう少し特化したアプリに「MapMy-ランニング」「MapMy-ウォーキング」「MapMy-バイク」がある。「MapMy-フィットネス」はダウンロードと使用は無料だが、プレミアムアイテムにアクセスするには月額5.99ドル(年額29.99ドル)が課金される。

人気のエクササイズ系アプリには他に「Fitbit」がある。独立型のアプリと違い、「Fitbit」は 独自のデバイスを使ってスマートフォンやパソコンに接続できる。Fitbitデバイスは装着可能な健康トラッキングデバイスで、トレーニングだけでなく日常の行動、食事、睡眠も記録できる。Fitbitデバイスの価格は59.99ドルからあり、任意のプレミアムアイテムは年額49.99ドルで追加できる。

健康に関する目標があるなら、Lifesumを試してみるとよいかもしれない。アプリ初動時に栄養管理の目的-健康増進、減量、筋肉増強など-の入力を求められる。その後、食事やトレーニングの情報を入力できる。このアプリから、目標達成のためのトレーニング計画の選択についての助言や、食べ物の選択や健康によい量についてのフィードバックを得ることができる。「Lifesum」は他に、水分摂取が記録できることが特徴で、健康維持に必要な水分量を摂取するよう教えてくれる。「Lifesum」は、ダウンロードは無料だが、プレミアムアイテムへのアクセスは月額9.99ドル(3カ月21.99ドル、年額45.00ドル)が課金される。

食習慣の改善に役立つアプリには「Fooducate」がある。「Fooducate」を使うには、無料アプリをダウンロードしてスマートフォンのカメラを使って食品の外袋のバーコードを撮影スキャンすればよい。その食品にはアプリによりカロリーの質に基づきA, B, C, Dの成績がつき、健康によい代替品も示してくれる。Fooducateは特定の食品やサプリメント、食品メーカーとは提携していないが、アプリから勧められた食品を購入できる機能も備えている。

がん患者向けアプリ

健康管理やトレーニングのアプリが健康維持に役立つ一方で、治療中のがん患者に役立つようデザインされたアプリもある。そのひとつが「Cancer.Netモバイル」で、がん専門医が認めた米国腫瘍学会(ASCO)の情報を掲載している。がん患者やその家族のための資料には120種類のがんの説明、Cancer.Netに掲載された最新ニュース、多くの対話型ツールがある。このアプリがあれば、医師への質問をメモしたり、音声による回答を録音したり、処方薬の情報を保存したり、症状を記録したりできる。Cancer.Netのアプリは無料で、個人情報を保護するパスワードも設定できる。iPhone使用者なら、iCloudに情報を保管できる。

がんセンターが提供する、患者用の携帯アプリもある。例えば、MDアンダーソンモバイルは、患者やその介護者が自分のスマートフォンやタブレットで施設の電子カルテシステムに接続し、診察の経過を追ったり、個人のカルテを閲覧したり、安全に連絡を取ったりすることができる。

健康管理やトレーニングのアプリは万能ではないが、やる気を維持したり健康の目標を達成したりするために役に立つツールとなる。

– E. Nielsen

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翻訳担当者 石岡優子

監修 石井一夫 (ゲノム科学/東京農工大学)

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