オメガ3脂肪酸類について、知っておくべき7つのこと

NCCIH 米国国立補完統合衛生センター
最終更新日:2019年10月9日 

オメガ3脂肪酸は、体内のさまざまな機能において重要な多価不飽和脂肪酸です。オメガ3脂肪酸であるEPAとDHAは、サケ、マグロ、マスなど脂の多い魚や、カニ、ムール貝、カキなどの貝類に含まれています。アブラナ油や大豆油といった一部の植物油などの他の食品には、ALA(アルファリノレン酸)という別の種類のオメガ3脂肪酸が含まれます。また、オメガ3脂肪酸はサプリメント(栄養補助食品)でも利用することができ、EPAやDHAを含有する魚油、ALAを含有する亜麻仁油などがあります。魚介類を摂取することによる健康面へのメリットについてはある程度証明されています。オメガ3脂肪酸サプリメントによる健康面に対するメリットは、いまだ明確ではありません。 オメガ3脂肪酸について知っておくべきことに、以下の7つがあります。

1)
魚介類(魚類および貝類)に多く含まれる栄養素と心疾患についての研究結果から、魚介類をほとんど食べない人に対し、週1回以上魚介類を食べる人の方が心臓疾患で死亡する確率が低くなることが、中等度の根拠で証明されています。「2010年版 Dietary Guidelines for American」(3MB PDF)では、新たに、オメガ3脂肪酸類を含め幅広く栄養素を摂取できるよう、成人はさまざまな魚介類を1週間に8オンス(約227g)以上食べるよう推奨されています。(幼児にはこれより少ない量が推奨されており、妊婦や授乳婦に対しては特殊な推奨事項があります。4つ目の項目を参照)

2)
EPAやDHAが豊富な魚介類は心臓に良い食品だという根拠は示唆されていますが、EPAやDHAのサプリメントが心疾患を予防するということは現段階で証明されていません。2012年、2つの研究者グループが、心疾患リスクに対するEPA/DHAサプリメントの効果に関する研究を分析しました。一方のグループは心疾患の既往がある人での研究についてのみ分析し、もう一方のグループは心疾患の既往がある人、ない人の双方について分析しました。両グループのレビュー論文からも、サプリメントの効果について確実な証拠は見いだされませんでした。

3)
2012年のレビュー論文により、EPAおよびDHA(魚介類や魚油にみられるオメガ3脂肪酸)は、リウマチ性関節炎の症状を、ある程度緩和させる可能性があると結論づけられました。このレビュー論文を含む研究で、多くのリウマチ性関節炎患者から魚油を摂取すると、朝の関節のこわばりが短くなる、関節のはれや痛みが軽減する、症状を抑えるための抗炎症剤の服用頻度が減るなどの報告がありました。

4)
乳幼児期や幼児期と同様、魚介類の栄養価は胎児の成長期や発育期に特に重要です。妊婦や授乳婦は、必要カロリー量を超えないようにしつつ、健康な食生活の一部として、メチル水銀の含有量が低く、幅広い種類の魚介類を週に8~12オンス(227g~340g)摂取すべきです。妊婦や授乳婦は白マグロ(ビンナガマグロと表示されたもの)の摂取量は週に6オンスを超えないよう抑える必要があります。アマダイ、サメ、メカジキ、キングマッケレルは、メチル水銀を多く含むため控えねばなりません。

5)
オメガ3脂肪酸と脳や眼の疾患についての研究が現在進行中ですが、これらの疾患の症状に対するオメガ脂肪酸の効果について結論を引き出す十分な証拠はありません。DHAは脳や眼の機能に重要な影響を及ぼします。研究者らは、脳や眼に関連するさまざまな症状の予防や治療のため、DHAや他のオメガ3脂肪酸に考えられる有益性を積極的に調べています。

6)
魚介類や魚油(EPA/DHA)に含まれるオメガ3脂肪酸と前立腺がんのリスク増加と関連があるかどうかについては相反する証拠が示されています。オメガ脂肪酸の消費量と前立腺がんリスクとの相関性について、さらなる研究が現在進行中です。

7)
結論:食事に魚介類を取り入れることは健康に良いでしょう。オメガ3脂肪酸サプリメントが有益かどうかは現在のところ確かではありません。オメガ3脂肪酸サプリメントを検討する場合は、かかりつけの医療従事者に相談してください。特に、妊娠中や授乳婦中の場合、血液凝固に影響する薬を服用している場合、魚介類にアレルギーがある場合、子供にオメガ3サプリメントを与えようと検討している場合は、自身や子供の担当医療従事者に相談することが重要です。

翻訳担当者 佐々木亜衣子

監修 大野 智(腫瘍免疫学、免疫療法、補完代替医療/大阪大学・帝京大学・東京女子医科大学) 

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