治療が終了した後にー健康的な生活習慣
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翻訳更新:2013年9月23日
適切な栄養摂取、運動など健康的な生活習慣は、体の回復に役立ちます。健康的な暮らしを工夫することは、生活の質の向上につながります。さらに、他のがんや心臓病などの疾患にかかるリスクも低下する可能性があります。あなた固有の危険因子について医療チームに相談して、あなたが避けるべきことを知っておいてください。
医療チームと話し合いながら、健康的な生活プランを立ててみましょう。あなたのあらゆる病歴を考慮に入れます。あなた自身の新たな目標があれば、計画に入れます。健康的なライフスタイルは、次のような問題の解消に役立ちます。
- 体調不良
- 平衡感覚障害
- 倦怠感
- 筋肉や関節のこわばり
- 体重減少や体重増加
- 睡眠障害
- 情動不安
健康的な暮らしのプランづくり
- 身体活動
- 食事・栄養に関する提案
- ストレスの軽減
- 良好な医療ケア
これらの健康的な生活習慣の中からあなたのライフスタイルに何か取り入れてみましょう。
身体活動
- 呼吸訓練
- ウォーキング、ランニング、サイクリング
- ガーデニング、屋外作業
- 水泳など楽しめる活動
- ダンス、体操教室
- ヨガ、太極拳など、ストレッチ体操
食事・栄養に関する提案
- 無農薬の果物や野菜を1日に5~9品目食べる
- 食物繊維を多く摂取する
- 1日にコップ8~10杯の水を飲む
- 塩漬け、酢漬け、燻製食品を避ける
- 赤身の肉や、ベーコン、ソーセージ、ホットドッグなどの加工肉をたくさん食べない
- 飲酒を控える
ストレスを減らす方法
- 楽しめること、笑えることをする
- 趣味やマッサージなど、リラックスできることをする
- 音楽や絵画などの教室に通う
- 日記をつける
- 音楽を聴く
- サポートグループやカウンセリングに参加する
- 祈りや瞑想を行う
継続中の医療ケア
- 指示通りに薬を服用する
- 予約して定期的な経過観察を受ける
- 推奨される検診を受ける
- 注意すべき症状を知っておく
- タバコなど健康上のリスクを避ける
- 疑問や心配事を医療チームに相談する
健康的な暮らしのプランがあれば、健康的な生活習慣を生活の一部とすることができます。まずは楽しめることから始めましょう。そのうちにできるようになったら、さらに努力してみましょう。あなたがしていることは、がんやその他の健康問題のリスクを減らすためだと承知していれば、気分もよいでしょう。
健康的なライフスタイルをしばらく続けても身体の問題が続く場合、あなたに役立つ治療方法は他にあるかもしれません。医療チームと相談の上、あなたの目標を調整したり、目標達成に向けたプランを立ててもよいでしょう。
●●● 精巣がんサバイバーの話 -ボブ・B- ●●●
1985年、私は精巣がんと診断されました。がんそのものはそれほど問題ではないようでした。しかし、1%の確率と言われている手術の副作用に襲われ、腸閉塞という重大な合併症を患いました。18年にわたり、私は腸閉塞を9回ほど患い、そのうち2回は大手術を伴いました。
根本的原因はリンパ節切除でしたが、これは手術によって尿路に沿うリンパ節を摘出するものです。瘢跡組織は身体の特定部位に癒着し始めるのですが、それがたまたま腸に癒着すると閉塞の原因となります。私の場合、傷口はうまく治りましたが、間違った場所で癒着が起きました。
妻と私は、何か問題が起きた時の対処法をよく心得ています。というのも、腸閉塞、胃痛、腹部膨満、背中や腰の痛み、吐き気など、実に多くの困難に直面してきたからです。
すばらしい介護者の存在は重要です。こうした困難を自分一人で切り抜けられる人はいないでしょう。当時、私は独身で、ある女性と付き合っていました。その後の成り行きで、18年後の今、彼女は私の妻です。結婚してからどのくらい経つのかが、がんになってからの年数で分かるなんて、何かおかしな感じですが、ちょうど同じなのです。彼女が一緒に居てくれたことを神に感謝します。彼女はたくましく、意志の強い人で、叱咤してほしい時に私を叱り、そばに居てほしい時に居てくれました。この試練のせいで人々や家族がバラバラになるのを見てきましたが、そうなる必然性はないのです。みんなで力を合わせなければなりません。それはとても大切なことだと思います。
私は神経損傷を何度も経験しました。18年経った今でも、両方の大腿部にしびれがあります。私の両足は眠っているかのような感じで、それはまさに神経損傷が原因です。手や足を失くした人の話を聞いたことがあると思いますが、そんな感じです。つまり、幻肢痛です。私は時々その痛みを感じ、大抵は大腿部から鼠径部で起こり、やがて痛みはなくなります。鋭い痛みのような感じで、それに気持ちが集中してしまうのですが、そのうち治まります。
がんによって私の生き方が特に変わったということはありません。変わったのは日々に対する考え方で、日々できる限り最良の人生を送ろうという考え方です。がんについてはあまり考えず、自分がここにいて、まだ生きていて、すばらしい日を過ごしていることを日々意識するだけです。
あれは1985年のことで、それ以来、情報に関しては事情が大きく変わりました。当時、私たちは不妊について知りませんでした。子どもができないと分かった時には本当にショックでした。それが分かっていたら、事前に何かできたかもしれません。たぶん、このことはがんがもたらした最大の副作用の一つです。
私が早い段階で学んだ重要ポイントの一つは、痛みは避けがたいが、苦しみは選択の余地があるということです。これは、誰もが信じることができ、信じるべき言葉だと思います。なぜなら、それは痛いものだけれど、それで苦しむ必要はないのですから。自分の意志次第でいかに良くなるかは驚くほどです。
私はマラソン、自転車、トライアスロンの選手で、無敵でした。つまり、がんになるなんて、病気になるなんて思ってもいませんでした。私はすべて完璧にこなし、よく食べ、運動をします。そして分かったことは、私はスポーツ選手だったために治癒が良好に進んだということです。運動プログラムをずっと続けていますが、運動は治癒を促進するので、継続して運動することはとても大切だと思います。
人はがんと診断されると、死の宣告と思ってしまいますが、そうではありません。それは生きることです。生きることであり、毎日が命の過程であるべきです。ここでじっと座って、私は怖くなかったなどと偽ることはできません。なぜなら怖かったからです。けれど、自分が死ぬと思ったことはありませんでした。それが重要なポイントだと思います。自分が死ぬとは決して思ってはいけません。生き続けるのです。人は生命にかかわる病に直面した時、周りの環境や命に関するすべてのことに一層調和するものだと私は思います。
私は18年経った今も、毎年健康診断や検診を受けていますが、未だに検査数日前になると落ち着きません。もし、こうだったらどうしよう。またあれになったら何をしなければいけないだろう、と。がんの再発はいつも気がかりなことで、毎日うまく対処しなければなりません。それが人生の現実だと思います。がんサバイバーとしてうまく対処しなければならないことが一つだけあると思います。がんは再発するかもしれないし、再発しないかもしれませんが、それを毎日考えなければいけないということです。その考え方次第で物事を大局的に見ることができると思います。今日という日について考え、一日をどう過ごすか、何をするかを考えるようになります。そうすればきちんと秩序立てて自分の人生を生きることができると思います。
がんと診断された人たちと会うことは、私にとってプラスになってきたと思います。彼らが困難に取り組む様子を見ると、自分も力が湧いてくるような感じです。彼らが前向きに取り組む様子を見ると、彼らにできるなら自分もできると思えるからです。他のがんサバイバーからエネルギーをもらうことが多々あるように、みんなが関わり合うべきことであって、たった一人で対処すべきことではないと思います。他の人々、そして彼らの経験から何かを得ることが大切だと思います。
がん患者やがんサバイバーと会うと、兄弟姉妹のような感じがします。少し立ち止まって、しゃべったり、話し合うことは大切だと思います。そういうことを拒絶すべきではないと思います。あなたが心を動かされたことはきっとあると思います。私たちはがんをやっつけようという思いで一つになることが大切だと思います。
私はがんと診断されてから気づいたことですが、人は近くにいる人たちを助けるために外に飛び出して何かしたいと思っているものです。地域との関わり合いはとても大切だと思います。なぜなら、自分自身のことを心配する代わりにそのエネルギーを他の人々のために使うことで、精神的にたくましくなれるからです。
私の名前はBob Blomquist、がんサバイバー歴18年です。
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山田登志子 訳
大野智 (腫瘍免疫学 早稲田大学/東京女子医科大学)監修
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