QOL向上につながる生活習慣改善を推奨されても、癌サバイバーは実行していない
キャンサーコンサルタンツ
2008年5月
アメリカ癌協会の研究者らは、定期的な運動、果物・野菜摂取の増量、禁煙などの生活習慣改善を奨励されても、実行する癌サバイバーは少数にすぎないと発表した。本研究論文詳細は、2008年5月1日発行のClinical Oncology誌に掲載された。
アメリカ癌協会は、癌サバイバーに向けてQOLの向上のためのガイドラインを作成している。本研究では、3つの推奨項目と身体的QOLスコアの関連性を推察した。3つの推奨項目とは、運動量、1日5皿の果物・野菜摂取、禁煙であった。
6つの癌患者団体から9,105人のサバイバーが、生活習慣と健康状態についての全国調査に参加した。調査より、以下の結果が明らかになった。
・1日5皿の果物・野菜を摂取していた癌サバイバーは、わずか14-19%であった。
・推奨運動量を実践していたのは、癌サバイバの29-47%であった。
・禁煙の実施者は、癌サバイバーの82-91%であった。
・全体として、上記全3項目実施者は、癌サバイバーのわずか5%であった。
上記結果をより詳細に分析した結果、生活習慣改善推奨項目、特に、推奨運動量を実践している癌サバイバーでは、身体的QOLスコアがより高かった。さまざまな癌種のうち、乳癌、前立腺癌、大腸癌、膀胱癌、子宮癌およびメラノーマのサバイバーにおいて、QOLスコアと推奨項目のあいだに有意に肯定的な関連性がみられた。
コメント:
生活習慣改善のための推奨項目を実行した癌サバイバーはほとんどいなかったが、ガイドラインを遵守したサバイバーの多くが生活の質の向上を報告した、と研究者らは結論している。患者に推奨項目の実施を奨励することは医療従事者の務めであり、癌サバイバーにとっても身体的QOL向上に重要である、とも付け加えた。
参考文献:
Reference: Blanchard, C., Courneya, K., Stein, K. Cancer survivors’ adherence to lifestyle behavior recommendations and associations with health related quality of life: results from the American Cancer Society’s SCS-II. Journal of Clinical Oncology. 2008; 26(13): 2198-2204.
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翻訳担当者 ユーテセット康子 訳、野中希 校正
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