ビッグデータの個人情報保護ガイドライン

ビッグデータの特性によって、個人データ保護に関する従来の原則の適用が非常に困難になる可能性

2017年1月28日のデータ保護の日に先立ち、「条約第108号」としても知られる欧州評議会のデータ保護条約に関する委員会は、個人をデジタル経済の中心に据えるために個人データを処理する政策立案者や組織を支援することを目的として、ビッグデータに関するガイドラインを採択した。

ビッグデータの特性によって、目的の限定やデータの最小化など、個人データ保護の従来の原則の適用が非常に困難になる可能性がある。

本ガイドラインには以下のような一連の推奨事項が含まれる。

  • 個人データのビッグデータ処理はすべて、自由で、具体的で、情報に基づいた明白な同意、そして目的の限定、公平性および透明性の原則の要件を満たさなければならない。
  • データ処理者は、個人が自らの同意を撤回するための、簡単で使いやすい技術的な方法を提供しなければならない。
  • データ管理者およびデータ処理者は、例えば、倫理委員会を設立することにより、ビッグデータ処理が人権に与えると予想される影響を評価しなければならない。また、リスクを軽減するためにリスク評価を実施し、計画的に、そしてデフォルト設定で解決策を構築しなければならない。
  • データの技術的匿名化は、関係者が再度特定される可能性を防止するために、法的義務または契約上の義務と組み合わせることができる。

「条約第108号」の委員会の委員長、Alessandra Pierucci氏は、「過去数年間において、何が指数関数的な知識の源泉となり、何が指数関数的な個人データ処理の源泉となったのかということに関する指針を提供することの重要性」について強調した。「ビッグデータ環境内の個人のより強固な保護に向けた本委員会の最初の一歩を、ビッグデータに関連する技術の急速な発展についていくためのさらなる一歩につなげなければなりません」。

ビッグデータは情報の収集、結合、分析の方法における新たな枠組みを示している。モノのインターネットやクラウド・コンピューティングなどのそのほかの技術環境との相互作用から利益を得るビッグデータは、大きな価値や革新の源泉となりうる。

翻訳担当者 生田亜以子

監修 石井一夫 (ゲノム科学/東京農工大学)

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