遺伝的要因から高齢女性のX染色体喪失パターンを予測できる可能性

概要

研究者らは、女性の2本のX染色体のうち1本が加齢とともに失われること( X染色体のモザイク欠損(mLOX))を予測する遺伝的変異を同定した。これらの遺伝子変異は、異常な血液細胞(X染色体のコピーを1本しか持たない)の増殖を促進する役割を担っている可能性があり、がんを含む複数の疾患につながる可能性がある。本研究は、米国国立衛生研究所(NIH)の一部である国立がん研究所(NCI)の研究者による共同主導で行われ、2024年6月12日にNature誌に発表された。

mLOXの原因と影響をより深く理解するため、研究者らは8つのバイオバンクにある約90万人の女性の血中の白血球を分析した。そのうち12%にmLOXが認められた。研究者らは、mLOX発現を左右する、自己免疫疾患やがん感受性に関連する遺伝子の近くにある56の一般的な遺伝子変異を特定した。さらに、FBXO10と呼ばれる遺伝子のまれな変異が、mLOXリスクを2倍に増加させることと関連していた。

mLOX 発現女性において、失われた X 染色体よりも残っている X 染色体でより頻繁に観察される、X 染色体上の一連の遺伝的変異も特定された。これらの変異は、将来、mLOX が発現したときにどちらの X 染色体のコピーが残るかを予測するために使用できる可能性がある。これらの変異のある X 染色体のコピーには、女性の血液腫瘍リスクを高めかねない成長優位性がある可能性もあるため、重要である。

研究者らは、mLOXと1,200以上の疾患との関連性も調べ、白血病のリスク増加や肺炎を引き起こす感染症への感受性との関連性に関する先行研究結果を確認した。

今後の研究では、mLOX が他の種類の遺伝的変異や加齢に伴う変化とどのように相互作用して、疾患リスクを変化させる可能性があるかに焦点を当てるべきだと研究者らは示唆している。

研究者

Mitchell Machiela(理学博士、公衆衛生学修士、国立がん研究所がん疫学・遺伝学部門)

研究

「モザイクX染色体喪失の集団解析により、遺伝的要因と細胞選択の広範な特徴を特定」は、2024年6月12日にNature誌に掲載された。

  • 監訳 石井一夫(計算機統計学/公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科)
  • 翻訳担当者 山田登志子
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  • 原文掲載日 2024/06/12

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