非エイズ関連癌の発症がHIV感染者で増加
キャンサーコンサルタンツ
2008年5月
米国疾病予防管理センターの研究者らは、一般集団に比べてHIV感染者においていくつかのタイプの癌が増加していると報告した。この研究の詳細はAnnals of Internal Medicine誌2008年5月20日号に掲載されている。
HIVに感染した患者では、いくつかの癌の罹患率が増加している。例えば、HIV感染者は非感染者に比べて非ホジキンリンパ腫の発症リスクが推定150~250倍高い。フランスの研究者の最近の報告によると、エイズ患者の死亡原因の28%は悪性腫瘍である。これは、高活性抗レトロウイルス療法(HAART)実施前の10%から増加している。
この研究は、1992年から2003年に実施された「HIV外来患者研究(HIV Outpatients Study)」と「成人・青年期HIV感染症プロジェクト(Adult and Adolescent Spectrum of HIV Disease Project)」における54,780人のHIV感染者のデータを調査した。このデータベースには157,819人年の追跡データが収められている。さまざまなタイプの癌の罹患率をこの集団と一般集団で比較した。さまざまな癌の標準化された罹患率が以下のとおり確認された。
● 肛門癌 42.9
● 膣癌 21.0
● ホジキンリンパ腫 14.7
● 肝臓癌 7.7
● 肺癌 3.3
● 黒色腫 2.6
● 口腔咽頭癌 2.6
● 白血病癌 2.5
● 結腸直腸癌 2.3
● 腎臓癌 1.8
また、研究者らは一般集団に比べて前立腺癌のリスクが低いことも報告した。この研究期間中に発生頻度が増加したのは肛門癌だけである。
コメント:
これらのデータは、HIV感染患者に対して特定のスクリーニング検査を実施しようとする医師にとって有用であろう。
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翻訳担当者 越智 律子
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