FDAが、癌性疼痛治療薬の重篤な副作用を警告(Fentora)

原文
FOR IMMEDIATE RELEASE:2007年9月26日
Media Inquiries:Susan Cruzan, 301-827-6242
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

米国食品医薬品局(FDA)は、Fentora(フェンタニル口腔錠)の使用について、死亡その他有害事象に関する最近の報告を受け医療従事者や消費者に対し注意を喚起している。

強力なオピオイド鎮痛薬であるFentoraは、オピオイド治療を受け忍容性となった癌患者の突出痛治療に限定し使用されている。突出痛は急激に生じ増大する激痛で、オピオイド投与による疼痛管理中でも発生する。麻薬性鎮痛薬投与を毎日定時で受けている患者は忍容性を発現し、薬物の危険な副作用を起こすことがそれ以下の頻度で麻薬性鎮痛薬を投与される患者よりも少ない。

報告された死亡は、患者、投与量の不適切な選択、薬の不適切な切り替え方法が原因であった。

「FDAはこの件について非常に綿密なモニタリングを行っています。」と、FDA医薬品評価研究センター所長Steven Galson(M.D., M.P.H.)は述べている。「われわれは医薬品メーカーとともに、本剤の最も安全な使用法の確立に取り組んでいます。医療従事者や患者は、Fentoraを不適切に服用し過剰摂取すると死に到るおそれがあることを認識する必要があります。」

本日発表の公衆衛生に関する勧告と医療従事者向け情報シートにおいて、FDAは医師やその他医療従事者に対し、Fentoraは製品の添付文書に従って投与することが重要であると警告している。さらにFDAは、頭痛や偏頭痛など短期間の痛みにFentoraを使用するのは危険であると明言している。Fentoraはオピオイドに忍容性がない患者には使用しないことが重要である。

またFentora投与の間、患者は担当医師による厳重な管理のもとで慎重に服用し、適切に突出痛抑制を行うべきである。

さらにFDAは、即効性のある鎮痛薬Fentoraを他の鎮痛剤の代替薬とする不適切な使用について懸念している。Fentoraは他のフェンタニル系薬剤と異なり、Actiqといった癌性突出痛治療に用いるフェンタニル系薬剤の代わりに使用することはできない。FentoraActiqよりも多量のフェンタニルを血液に送るため、Actiqの代わりに同量のFentoraを投与すると致死性の過剰投与のおそれがある。

2007年9月10日、Fentoraの医薬品メーカーであるCephalon社は医師その他医療従事者に対し、Fentoraの有害事象や死亡の報告について書面で通知した。FDAは有害事象を含む入手可能な情報について現在検証中である。FDAはCephalon社に対し、本剤のラベル表示の中で警告を強化し服用指示書を改訂するよう依頼している。またFDAは、適切な患者の選択、服用指示、および他の薬剤の代替薬としてのFentoraの使用に対する制約について処方医師および薬剤師向けの研修計画を改善するよう同社に要請している。

Fentoraに関する有害事象は、MedWatch(FDAの自主的報告プログラム)に報告されるものとする。

www.fda.gov/medwatch/report.htm
電話:800-332-1088
ファックス: 800-332-0178
郵送 : MedWatch, Food and Drug Administration, 5600 Fishers Lane, Rockville, MD 20852-9787
詳細のお問い合わせFentanyl Buccal Tablets (marketed as Fentora)

Chachan 訳
林 正樹(血液・腫瘍科)監修 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん緩和ケアに関連する記事

遠隔医療によるがん緩和ケアは患者のニーズに合うの画像

遠隔医療によるがん緩和ケアは患者のニーズに合う

COVID-19パンデミック中、がん治療における遠隔医療の利用が急増した。この期間中、一時期、対面での医療が制限され、医師の診察の多くがオンラインで行われていた。最近は遠隔医療の柔軟性...
がん患者による医療用大麻の使用増加に対応を迫られる腫瘍医たちの画像

がん患者による医療用大麻の使用増加に対応を迫られる腫瘍医たち

一連の新たな研究により、がん患者におけるカンナビノイド使用の増加と、その傾向が及ぼす影響の一部に焦点が当てられている。 

複数の研究結果によると、がん治療を受けている人の約20%から40...
ポンセグロマブはがん悪液質治療に大変革をもたらすか?の画像

ポンセグロマブはがん悪液質治療に大変革をもたらすか?

治験薬であるポンセグロマブが、がん患者に影響を及ぼすことが多い衰弱症候群である悪液質に対して有効な治療薬になる可能性があることが、臨床試験結果から明らかになった。

悪液質の特徴的な徴候は...
オランザピンは化学療法中の吐き気を軽減しQOLを改善の画像

オランザピンは化学療法中の吐き気を軽減しQOLを改善

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「化学療法誘発性悪心(嘔気、吐き気)は、化学療法で非常に多くみられる辛い症状で、患者のQOLが...