FDA、フェンタニル皮膚用パッチ剤について2度目の安全性警告を発行

原文
FOR IMMEDIATE RELEASE:2007年12月21日
Media Inquiries:Chris Kelly, 301-827-6242
Consumer Inquiries: 888-INFO-FDA

米国食品医薬品局は、本日、皮膚を通じて強力な鎮痛剤を供給する貼付剤であるフェンタニル経皮システムについて2度目の安全性警告を発行した。

2005年7月に、当局は同様の警告を一般および医療関係者に対し、過量投与を避けるため製品ラベルおよび患者用添付文書の指示に正確に従うよう警告を発した。

FDAは、医師が本パッチを不適切に処方したり、または患者が誤って使用した後に起こった、死亡および生命を脅かす副作用の報告を継続して受領していた。

さらに、当局は、全てのフェンタニルパッチ製造業者に製品情報を改訂すること、ならびに患者に対する治療手引を作成することを要求している。

フェンタニル皮膚用パッチ剤は、強力な麻薬であるオピオイド、フェンタニルを合有する。本皮膚用パッチ剤は、持続性の中等度から重度の疼痛がありオピオイド耐性となった患者に対し1990年にFDAにより承認された。つまり、それらの患者は、24時間、別の強力なオピオイド麻薬性鎮痛薬を1週間またはそれ以上の期間定期的に使用していた。皮膚用パッチ剤は、癌患者に対し最も一般的に処方される。

FDAへの最近の報告書では、オピオイド耐性でない患者において術後の疼痛緩和、頭痛、あるいは不定期または軽度の疼痛に対し、医師およびその他の医療関係者がパッチ剤を不適切に処方した後の死亡および生命を脅かす副作用が記載されている。別のケースでは、患者がパッチ剤を誤って使用していた。患者は、注意書きにある指示よりさらに頻繁に取替えたり、処方された枚数よりさらに多いパッチ剤を貼付したり、あるいはパッチ剤を暖めたりしていた。全てのケースで、血中フェンタニル濃度は危険なほど高いレベルに至った。

「慢性疼痛を患う患者に対し、疼痛を緩和するだけでなく、慢性的に使用した場合でも認容性の高い安全かつ効果的な製品を提供するという満たされないニーズがある」と、FDAのAnesthesia, Analgesia and Rheumatology Products(麻酔、鎮痛、リウマチ関連製品)部の部長であるBob Rappaport医師は言う。「これらの製品が重要なニーズを満たす一方で、不適切および誤った使用が生命を脅かす可能性がある。従って、医師がこれらの製品を適切に処方し、かつ患者がそれらの製品を正しく使用することが重要である」

本日発行された公衆衛生勧告および医療関係者への書面で、FDAは次の安全性情報を強調している:

● フェンタニルパッチは、オピオイド耐性でありその他の疼痛治療薬で適切にコントロールできない慢性疼痛がある患者用である。本パッチ剤は、突然の痛み、不定期または軽度の疼痛、あるいは術後の疼痛の治療に使用されるものではない。

● フェンタニルパッチを処方する医療関係者、およびそれを使用する患者は、呼吸困難または呼吸抑制あるいは浅呼吸、徐脈、重度の眠気、悪寒、冷汗、歩行困難または会話困難、または失神感、めまい、または錯乱などのフェンタニルの過量投与の徴候に注意すること。万が一これらの徴候が現れた場合、患者は直ちに治療を受けること。

● フェンタニルパッチの処方を受けた患者は、医師、薬剤師、およびその他の医療関係者に使用している全ての薬剤について伝えること。いくつかの薬剤はフェンタニルと相互作用を起こし、危険なほど高い血中フェンタニル濃度を来たし生命を脅かす呼吸障害が生じることがある。

● 患者および患者の介護者は、フェンタニルパッチの使用法を教えられなければならない。パッチ貼付の頻度、はがれたパッチの再貼付方法、パッチの取替え方法、およびパッチの廃棄方法についての指示などの重要な情報は、フェンタニルパッチに同梱される患者情報中に提供されている。

加熱は、血中に達するフェンタニルの量を増加する恐れがあり、生命を脅かす呼吸困難や死亡を招く可能性がある。患者は、パッチ貼付中には、加熱パッド、電気毛布、サウナ、あるいは温水ウオーターベッドなどの加熱源の使用、または温浴あるいは日光浴を行わないこと。患者または介護者は、パッチ貼付中に患者の体温が102度F(約39℃)以上になった場合、直ちにかかりつけの医師に連絡すること。

この情報は、FDAが製薬会社に作成するよう要求している更新された製品情報および患者に対する新しい治療手引に反映される。

フェンタニル皮膚用パッチ剤は、ジョンソン&ジョンソンによりDuragesicという商品名で販売されており、製品のジェネリック版は別の製造会社によって販売されている。

湖月みき 訳
島村義樹 監修 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん緩和ケアに関連する記事

遠隔医療によるがん緩和ケアは患者のニーズに合うの画像

遠隔医療によるがん緩和ケアは患者のニーズに合う

COVID-19パンデミック中、がん治療における遠隔医療の利用が急増した。この期間中、一時期、対面での医療が制限され、医師の診察の多くがオンラインで行われていた。最近は遠隔医療の柔軟性...
がん患者による医療用大麻の使用増加に対応を迫られる腫瘍医たちの画像

がん患者による医療用大麻の使用増加に対応を迫られる腫瘍医たち

一連の新たな研究により、がん患者におけるカンナビノイド使用の増加と、その傾向が及ぼす影響の一部に焦点が当てられている。 

複数の研究結果によると、がん治療を受けている人の約20%から40...
ポンセグロマブはがん悪液質治療に大変革をもたらすか?の画像

ポンセグロマブはがん悪液質治療に大変革をもたらすか?

治験薬であるポンセグロマブが、がん患者に影響を及ぼすことが多い衰弱症候群である悪液質に対して有効な治療薬になる可能性があることが、臨床試験結果から明らかになった。

悪液質の特徴的な徴候は...
オランザピンは化学療法中の吐き気を軽減しQOLを改善の画像

オランザピンは化学療法中の吐き気を軽減しQOLを改善

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解「化学療法誘発性悪心(嘔気、吐き気)は、化学療法で非常に多くみられる辛い症状で、患者のQOLが...