緩和ケアの情報提供に課題、米国内での調査結果

デューク大学医療センター

「ミステリー・ショッパー(覆面調査員)」のアプローチを用い、Duke Cancer Instituteの研究者らが匿名で国内の総合がんセンターの大半へ電話をし、緩和ケアを受けられるかどうか尋ねたところ、正確な情報への障壁が40%近くにのぼることがわかった。

この結果は2016年がんにおける緩和ケアシンポジウムの報道向けプログラムにおいて報告され、研究者らは、導入として真っ先に得られた情報が誤解を受ける内容だと、患者が必死に探し求めていた緩和ケアへのアクセスを妨害しうると述べた。

「患者とその介護者が、緩和ケアを受けられるかどうかを元に意思決定をし、さらに、患者がどのように感じ、どのくらいうまくがんと付き合っていくかは緩和ケアによって違ってくることがわかっています」と、Duke大学医学部助教で主著者のArif Kamal医師は述べた。「患者が緩和ケアについて知識があり、どの段階にあっても利用可能であることが重要です」とも述べた。

緩和ケアはホスピスの一部であるが、終末期ケアだけではない。むしろ、重篤な疾患のストレスや症状を和らげるため、必要な薬物療法やサービスの提供に焦点を合わせている。

Kamal医師と、筆頭著者のKathryn Hutchins医師を含めた共同研究者は、米国国立がん研究所が科学的かつ臨床的リーダーシップをもつ施設として指定する総合がんセンターにおいて、ケアを求めることになる可能性のある患者に対して、 緩和ケアがどの程度十分に提示できているかを判断するために調査した。

すべての総合がんセンターは、相談機能のある緩和ケアサービスを行っていると報告しているが、肝臓がん患者になりすました「ミステリー・ショッパー(覆面調査員)」が40施設のそれぞれに対して電話調査を繰り返したところ、38%の確率で緩和ケアに関する十分な情報を得ることができなかった。

電話調査の約10%では、緩和ケアが提供されることを確認できなかった。

「がん治療を希望する人にとって、緩和ケアとペイン・クリニックは、探し求める情報の上位の3つに入っています。こうしたサービスは存在しているのですから、とにかく私たちがすべきことは、患者やその介護者に対し正確な情報を提供し、サービスへのアクセスを改善することです」とHutchins医師は述べた。

翻訳担当者 松川深玲

監修 小杉和博(緩和ケア内科/川崎市井田病院)

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