治療が終了した後にー尿失禁
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翻訳更新:2013年9月12日
尿失禁
サバイバーの中には、膀胱からの失禁を経験する人がいます。これは個人的な問題であり、失禁からくる困惑は自尊心やライフスタイル、QOLに影響を及ぼします。ですがあなたは一人ではありません。
尿失禁は、多くのがんサバイバーをはじめ、およそ2,500万人のアメリカ人が経験しています。尿失禁の原因を特定することにより、その問題に対処したり、尿失禁が生活に及ぼす影響を小さくすることができます。
尿失禁のタイプ:
- 腹圧性尿失禁:腹圧性尿失禁の人は笑ったり、咳、くしゃみ、物を持ち上げたり、運動や立ち上がったりという動作を行ったときに、この尿失禁を経験します。
- 切迫性尿失禁:切迫性尿失禁の人はたびたび排尿をしたくなります。彼らは尿漏れを防ぐためにたびたびトイレに駆け込まなければならないのです。尿意切迫感は不快なものであり、痛みを伴う事さえあります。
- 混合型尿失禁:混合型尿失禁の人は腹圧性尿失禁と切迫性尿失禁の両方の症状を経験することが多いです。
- 溢流性尿失禁:溢流性尿失禁の場合、尿の通り道になんらかの閉塞が生じて(ぱんぱんに膨れた)膀胱から尿があふれることにより、少量ずつ尿が漏れるようになります。この症状は前立腺肥大で尿道が圧迫されている状態や、膀胱の弁が適切に開かないような時におこります。膀胱が完全にからっぽになることがないため、この症状がある人は、数分おきに排尿したくなることがあります。
サバイバーに尿失禁のリスクをもたらすがん:
尿失禁の問題を持つがんサバイバーの研究は、前立腺がんの尿失禁に焦点を絞っています。しかし、もちろん他のがんや治療も尿失禁を引き起こす可能性はあります.
- 前立腺、子宮頸部、直腸、尿道、膀胱など骨盤内のがん
- 脳および脊髄の腫瘍や、膀胱や骨盤筋への神経に影響を及ぼすがん
- 肺や食道のがん(慢性的な咳嗽をひきおこすため)
- 乳がん(ホルモン変化により乾燥をひきおこすため)
尿失禁のリスクとなる可能性があるがん治療:
がんの治療時には、尿失禁を引き起こす多数の原因があります。骨盤領域の手術または放射線療法は膀胱に走っている神経を傷つける可能性があります。このことは前立腺、子宮、大腸の手術の時におこることがあります。神経が傷ついてしまった場合、頭から膀胱に行くシグナルが混乱してしまうことがあるのです。以下にその例を示します。
- 前立腺切除などの手術による膀胱出口部の変化
- 腹圧性尿失禁の原因となる可能性がある悪心や嘔吐などの、治療による副作用
- 頻尿や失禁をひきおこす膀胱の炎症
- 尿のコントロールに影響がある神経や血管の変化
- 化学療法は悪心や嘔吐、神経損傷や卵巣不全によるホルモン不足をひきおこす可能性があります
- ホルモン治療は腟や尿道組織の乾燥をひきおすことがあります
- 膀胱がん、前立腺がん、子宮頸がん、直腸がんにおける骨盤への放射線治療は膀胱の炎症や過活動膀胱(切迫性尿失禁)の原因となることがあります。
- 高用量の化学療法施行下での骨髄移植は嘔吐や膀胱炎などの副作用をひきおこすことがあります。
尿失禁の治療法
あなたのヘルスケアチームにこれらの方法について相談しましょう
- 膀胱に刺激を与え、尿意切迫感や頻尿の原因となる、チョコレート、カフェイン、茶、コーラ、アルコール、トマト、かんきつ系果実とジュース、スパイスがきいた食べ物、人工甘味料などの食事や飲み物は避けましょう。
- 膀胱を支える力を強くし、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、混合型尿失禁を減らす助けをする骨盤底筋体操を試してみましょう。
- 喫煙をやめましょう。喫煙は膀胱の収縮に影響を与える刺激因子となり、膀胱の収縮頻度を増やします。喫煙からくる慢性的な咳嗽は、膀胱と骨盤底筋にストレスをあたえ、これらの支えを弱める可能性があります。
- 余分な体重を落としましょう。太りすぎは、骨盤底筋の緊張に余分なストレスを与え骨盤内臓器を支える力に影響を与えます。
- あなたの骨盤底筋の強さに合っていない、リフティングや無理のある運動は避けましょう。
一般的に、慢性的な便秘があるときは繊維と水分の摂取を増やしましょう。便を出すために筋肉に力を入れると、膀胱の骨盤底筋に対して圧力をかけることになります。
行動療法
行動療法は行動(日常習慣)や活動をかえることで行います。これらには、膀胱を定期的にからっぽにすること、尿意を我慢すること、骨盤底筋を鍛えること、食習慣や飲み物の量を見直すことなどが含まれます。80%位の失禁は行動療法で改善できます。
行動療法の利点:
- いくつかの症状が改善します
- 副作用がありません
- 尿失禁に対する最も安価な治療法です
- 通常一番初めに試みる治療として推奨されています
- あなた自身が治療において重要な役割を果たします
手術
手術は、泌尿器科医あるいは婦人科医によって、腹圧性尿失禁の症状を緩和するために行われます。手術治療には以下のものがあります。
- 膀胱挙上(膀胱を吊り上げます)
- 膀胱の弁を締めます
- 尿道を囲む人工弁を設置します
- 尿道と膀胱の弁がしっかり締まるように補強するコラーゲンを注入します
- 神経に刺激を加え、膀胱を治療するための小さな電気装置を埋め込みます
薬物治療
切迫性尿失禁の薬物治療は膀胱の筋肉の収縮をゆるめます。このことにより尿意切迫感や頻尿が改善します。ただし、これらの治療には口内乾燥や便秘などの副作用があり、また緑内障の患者には使用できません。腹圧性尿失禁の薬は開発中であり、近い将来に使用できるようになることが期待されています。
人によっては尿失禁の治療について助言を求めることを恥ずかしがり、ためらってしまうこともあります。しかし、尿失禁は簡単に管理あるいは治療できる問題なのです。もしも尿失禁があなたのQOLに影響を及ぼしているならあなたのヘルスケアチームに助けをもとめましょう。この問題であなたが苦しむ必要はありません。
参考文献
Smith, Dorothy B. “Urinary Continence Issues in Oncology.” Clinical Journal of Oncology Nursing 3(4) (1999):161-7.
Gray, Mikel. “Functional Alterations: Bladder.” Handbook of Oncology Nursing Eds. Bonny Johnson and Judy Gross. Boston: Jones and Bartlett, 1998.
Shultz, Jean. “Urinary Incontinence: Solving a Secret Problem.” Nursing 2002 (November 2002): 53-5.
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古屋千恵 訳
北村裕太 (内科研修医 東京医科歯科大学医学部付属病院)監修
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