ASCO、癌患者の静脈血栓塞栓症予防ガイドラインを提示

キャンサーコンサルタンツ
2007年12月

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、癌患者における静脈血栓塞栓症(VTE)予防の推奨ガイドラインを発表した。この結果はJournal of Clinical Oncology 2007年12月1日号に掲載された。

悪性腫瘍患者はVTE発症リスクが高いが、静脈血栓症発症のリスクが高い要因はいまだ明らかになっていない。リスク評価モデルによって血栓症発症リスクの高低で患者が分類できれば、癌患者における血栓症とその続発症発生率を軽減させるべく可能な予防ガイドラインが制定できる。先ごろ、オランダの研究者は血液癌、肺癌、消化管癌患者はVTE発症リスクが有意に高いと報告した。VTE予防は重要な経済問題でもある。M.D.アンダーソンがんセンターの研究者は癌患者が深部静脈血栓症になると、平均11日間入院し、2万ドル以上の費用がかかることになると報告した。

ASCOに所属する医師は近ごろ、癌患者におけるVTEの予防と治療に関する医学文献のデータを再調査した。この再調査にはVTEの予防および治療と抗凝血剤の生存率への影響を評価した臨床試験が含まれ、これらの評価に基づいて、以下の勧告がなされた。

すべての入院癌患者は、出血または他の禁忌がない場合は、抗凝血剤によるVTE予防が考慮されるべきである。
外来癌患者は、サリドマイドまたはレナリドマイド投与中の患者を除き、抗凝血剤での定期予防は勧告されない。
悪性疾患で大手術を受ける患者は薬理学的血栓予防を考慮されるべきである。
低分子量ヘパリンは、VTEと確定した癌患者の初期および継続治療の望ましい薬剤である。
抗凝血剤の癌患者生存率への影響には付随研究が必要であり、現時点では勧告されない。

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本ガイドラインは癌患者におけるVTE発生率を軽減する有効な情報を提供する。

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翻訳担当者 吉田 加奈子

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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