ASCO CancerLinQとCount Me Inコラボ:がん臨床研究に患者が診療データを共有
ASCOの CancerLinQとCount Me In(カウント・ミー・イン、「私を参加させて」の意味)は、臨床研究事業の一環として積極的にがん患者を関与させることにより、がん研究者がすべてのがん患者から学べるようにする新たなコラボレーションを発表した。
CancerLinQは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が開発した腫瘍学リアルワールドデータの技術基盤で、全米のがん診療機関から匿名化されたEHR(電子健康記録)データを集約し、質の向上と研究を通じてがん治療の発展に寄与している。
Count Me Inは、マサチューセッツ工科大学(MIT)とハーバード大学のブロード研究所、エマーソン・コレクティブ、ダナファーバーがん研究所による非営利研究の取り組みで、患者が自身の匿名化された医療情報や病歴をがん研究者や試験医師らと共有できるようにして、がん研究に参加する仕組みを患者に提供している。
CancerLinQは、医療機関ネットワークを活用し、治療の時点で診察室でCount Me In プログラムへの患者の勧誘や紹介を行うことにより、臨床研究への患者の参加を促進していく。
Count Me Inに登録した患者は、がんの経験、医療記録のコピー、検体に関する情報を共有することに同意するものとする。
「現実には、臨床研究に参加するがん患者の割合は5%に満たない。がん研究者として、私たちは今まで以上に働きかけ、より多くの患者に研究に参加する機会を与えるべきである」とCancerLinQの最高経営責任者のSean Khozin医師(公衆衛生学修士) は述べた。
「CancerLinQとCount Me Inとの新たなコラボレーションにより、私たちはがん研究への患者参加を民主化している。そのコラボレーションによって、社会の主流から取り残された地域社会に住み、これまで研究から除外されてきた人々も含め、より多くのがん患者ががん分野での発見に貢献し、がん医療を推進できるようになる」と同氏は続けた。
「すべてのがん患者は、がん研究に参加し、貢献する機会を持つべきだ」と、Count Me In代表・ディレクターであるNikhil Wagle医師は述べた。「患者には、他の誰にもできない方法でがん研究を加速させる独自の能力がある。Count Me InとCancerLinQは共に、がん患者がどこにいても世界中の研究者と情報を共有できるようにすることで、医療システムを学習システムに変えるという私たちの共同ミッションを継続的に推進し、あらゆる患者の経験に関する知識が他のすべての患者に役立つようにする」と同氏は続けた。
CancerLinQは、最大かつ最も多様な腫瘍学リアルワールドデータベースの一つであり、全米50州200万人以上のがん患者からの匿名化されたデータが集められている。CancerLinQのネットワークは、100以上のがんセンターと地域のがん診療所で構成されている。
2015年以降、1万人以上のがん患者がCount Me Inに加入し、自身の医療情報や病歴を共有化している。米国またはカナダに居住し、がんの既往歴がある人は誰でもCount Me Inに登録することができる。
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