ステージ4がん患者の治療障壁を取り除く法案がオハイオ州で可決
2020年12月21日月曜日、Mike DeWineオハイオ州知事は、同州のステージIVがん患者が確実に迅速な治療を受けられる新法案に署名した。本法案可決を、オハイオ州立大学総合がんセンター・アーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC – James)のがん専門医らは、進行がんに直面している患者にとって非常に重要な動きであると述べている。
OSUCCC – Jamesの医師および政府関係担当者のリーダーらは、Bob Hackett上院議員(共和党-ロンドン選出)およびHearcel Craig上院議員(民主党-コロンバス選出)らと共同で、2019年12月の審議に向けてこの新法案を起草、提出した。同法案はオハイオ州議会上院で2020年12月8日に承認された。
可決された新法案の下、オハイオ州の保険会社は「フェイルファースト(fail first:先に失敗するの意)」条項の廃止を義務付けられることになった。「フェイルファースト」条項とは、患者が治療担当医師による処方薬費用の補償を受ける前に、保険会社がしばしば推奨するジェネリック代替薬を最初に試みるよう患者に求めるものである。
「オハイオ州の下院と上院で上院法案252が超党派の圧倒的な支持を得たことにわれわれは大いに沸き立っています。Craig 、Hackett両上院議員には、この法案を提出して下さり心の底から感謝いたします。これでOSUCCC – Jamesは、これまでできなかったステージIV患者への迅速な医療が提供できるようになります」と Hal Paz医師(オハイオ州立大学executive vice president兼chancellor for health affairs、オハイオ州ウェックスナー医療センターCEO)は述べる。「この法案への署名は、OSUCCC – James病院の患者が受ける世界水準の医療のさらなる発展に向けた、感動的で重要なステップです」。
がんは一連の複雑な疾患であるため、患者の腫瘍特性によってしばしば決定されるオーダーメイド治療を必要とする。「ジェネリック」代替医薬品は多くの場合、有効性が低く副作用が多い、古い治療選択肢でもある。
分子学的に決定された最新の標的治療が適している患者においてオーダーメイド治療は、がんコントロールが良好で、副作用も少ないことが研究で示されている。OSUCCC – Jamesで診断を受けた患者の約20%はステージIV、つまり、腫瘍が原発器官部位を越えて近位組織、リンパ節、臓器、その他の身体領域にまで進行している状態である。
「ステージIVのがん患者には、一刻の猶予もありません。今回『フェイルファースト』条項を廃止する新法案が可決されて、オハイオ州のステージIVがん患者は大きな勝利を収めました。さもなければ、患者は今までのように、がんとその関連疾患の治療の最初から最新の分子標的治療を受けたくても制限されたことでしょう。医学における第一の誓いは、「害を与えない」ことです。今回の新たな法律により、腫瘍内科医は薬学的にがんをコントロールできる可能性が最も高い方法は何であるかに基づいて、(保険会社など)第三者支払者が課す金銭的制約を受けることなく、患者に合わせた治療内容を推奨できるようになります」と、Raphael Pollock医学博士(OSUCCC ディレクター、 The James肉腫専門腫瘍外科医)は言う。
オハイオ州のステージIV4がん法案は、テキサス州、ジョージア州、デラウェア州、コネチカット州、イリノイ州、ミネソタ州、ルイジアナ州、アーカンソー州、コロラド州、メリーランド州、およびノースダコタ州が「フェイルファースト」条項の削除を命じた前例を踏襲している。「フェイルファースト」条項とは、治療担当医師による処方薬費用の補償を受ける前に、保険会社がしばしば推奨するジェネリック代替薬を最初に服用してみるよう患者に求めるものである。
この法案により、固形腫瘍患者は、治療担当医師が選択するがんおよび関連疾患治療薬による治療を迅速に受けられるようになる。この新法案に基づき、以下3つの基準のうちいずれかを満たす薬剤への迅速なアクセスを提供することが保険会社に義務付けられる。
・がんおよび関連疾患の治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けていること。
・上述疾患治療薬として全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)の薬剤・バイオ製剤一覧に掲載されていること。
・ステージIV疾患の治療におけるベストプラクティスとして査読付き医学文献のエビデンスがあること。
本法案は、臨床試験には適用されない。臨床試験については別のプロセスを経て管理される。
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