コロナウイルス感染症、家庭で介護をするための推奨事項
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われる、またはCOVID-19と確認された米国家庭での暫定的な推奨事項
最近の変更点のまとめ
2020年3月26日に、下記が改訂に反映されました。
・EPA(米国環境保護局)承認消毒剤一覧リストへのリンクを更新しました。
・電子機器の消毒について、ガイダンスを追加しました。
・消毒・清掃に関するガイダンスの主要な部分を更新しました。
背景
2019年新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)について、学ぶべきことはたくさんあります。COVID-19について現時点でわかっていることに基づくと、新型コロナウイルスの人から人への感染は、濃厚接触(約6フィート以内 *約180cm)により最も多く発生します。このタイプの感染は、呼吸器からの飛沫により発生します。一方、ウイルスに汚染された表面から人への新型コロナウイルスの感染は記録されていません。最近の研究では、無症状の感染者もCOVID-19の感染拡大に関与している可能性が高いことが示されています。新型コロナウイルスの感染は、物を介した感染よりも、呼吸器からの飛沫により起こることが一般的です。最近のエビデンスから、SARS-CoV-2がさまざまな材質の表面上で数時間から数日間残存する可能性が示されています。 目に見えて汚れた表面を清掃してから消毒することは、家庭や地域環境でCOVID-19やその他のウイルス性呼吸器疾患の予防のため、一番良い方法です。
COVID-19と確認された人が居た部屋の空気が、どれくらいの期間、感染力が残るのかは明らかではありません。施設側は、消毒を開始する前に、病人が使用する部屋やエリアを閉鎖する期間を決定するにあたり、部屋の広さや換気システムの設計(流量[1時間あたりの空気の変化]や給排気口の位置を含む)などの要因を考慮する必要があります。 COVID-19にかかった人や感染疑いのある人がいた場所や部屋で、換気の改善対策を講じることで、呼吸からの飛沫が空気中から除去される時間を短縮することができます。
目的
本ガイダンスは、調査対象者(PUI:persons under investigation)やCOVID-19が確認された人が居住しているご家庭、または自己隔離をする可能性のあるご家庭での清掃や消毒に関する推奨事項を示しています。居住環境におけるウイルスの残存を抑えることを目的としています。これらの推奨事項は、追加情報があれば更新されます。
本ガイドラインは家庭環境での設定に焦点を当てており、一般の人々を対象としています。
●清掃とは、表面に付着した雑菌や病原菌、および汚れ、不純物を除去することです。病原菌を死滅させるわけではありませんが、取り除くことで数を減らし、感染拡大のリスクを減らすことができます。
●消毒とは、EPA(米国環境保護局)に承認された消毒剤などの化学薬品を使用し、表面上の病原菌を死滅させることを指します。この作業は、必ずしも汚れた表面をきれいにしたり、病原菌を除去したりするわけではありませんが、清掃後に表面の病原菌を死滅させることで、感染を広げるリスクをさらに低くすることができます。
家庭での定期的な清掃と消毒に関する一般的な推奨事項
●地域社会では、頻繁に触れる表面(例:テーブル、ドアノブ、照明スイッチ、取っ手、机、トイレ、蛇口、シンク、電子機器(電子機器の特別な洗浄および消毒方法については下記を参照))を、ラベルの指示に従って、表面に適した家庭用洗浄剤およびEPAに承認された消毒剤を使用して日常的に洗浄することができます。ラベルには、手袋の着用や通気性の確保などの注意事項が記載されており、安全で効果的な洗浄剤の使用方法が記載されています。
○電子機器の場合は、全ての洗浄剤・消毒剤の製造元の指示に従ってください。拭取り可能な電子機器用カバーの使用を検討してみましょう。製造元の指示がない場合は、タッチスクリーンの消毒には70%以上のアルコールを含む拭取り用ペーパーやスプレーの使用を検討してください。液体が溜まらないように、表面を十分に乾燥させてください。
在宅介護で隔離中の人がいる家庭(COVID-19の疑いがある、または既に確認されているなど)の清掃と消毒に関する一般的な推奨事項
●同じ家に住む人はCOVID-19の症状について学び、COVID-19の家庭内での蔓延を防がなければなりません。
●家庭の共有エリアで、よく触れる部分の表面を毎日きれいにして消毒します(例:テーブル、背もたれのある硬い椅子、ドアノブ、照明スイッチ、電話、タブレット、タッチスクリーン、リモコン、キーボード、ハンドル(取っ手)、机、トイレ、流し台など)。
○ 病人専用の寝室・浴室・トイレでは、病人との不必要な接触を避けるために、掃除(汚れた物や表面など)の頻度を必要に応じて減らすよう検討しましょう。
●病人は、可能な限り在宅ケアのガイダンスに従い、特定の部屋にとどまり、他の人から離れて過ごしてください。
●看病する人は、病人の部屋や浴室に、専用の掃除用具を準備することができます。ただし、病人が子どもであるなど、掃除用具の扱いに適さない場合を除きます。そういった消耗品には、ティッシュ、ペーパータオル、クリーナー、EPA承認の消毒剤などがあります(商品例を参照)。
●別々の浴室が準備できない場合は、病人が使用するたびに浴室・トイレを清掃し、消毒する必要があります。それが不可能な場合は、看護する人は、病人の使用後できるだけ長く待ってから接触面の清掃・消毒を行ってください。
●同じ家に住む人は、COVID-19 が疑われる人または確認されている人との隔離室・浴室・トイレのやり取りは、在宅ケアのガイダンスに従いましょう。
掃除と消毒の方法
硬い表面(非多孔質)
●表面を清掃・消毒する際には、使い捨ての手袋を着用してください。手袋は掃除のたびに捨ててください。再利用可能な手袋を使用する場合は、その手袋は COVID-19 対策としての表面の洗浄・消毒専用とし、他の目的には使用しないでください。使用する洗浄剤・消毒剤については、製造元の説明書を読んでください。手袋を外した後はすぐに手をきれいにしてください。
●表面が汚れている場合は、消毒前に、洗剤または石鹸と水を使って洗浄する必要があります。
●消毒には、最も一般的なEPA 承認の家庭用消毒剤が有効です。
○COVID-19 の原因ウイルスに対し使用できるEPA 承認製品の一覧は、こちらのページでご覧になれます。「濃度、塗布方法、接触時間など」については、すべて、洗浄剤・消毒剤の製造元の指示に従ってください。
○また、必要に応じて、家庭用漂白剤を希釈した溶液(次亜塩素酸ナトリウム1000ppm以上)を物質表面の消毒に使用することができます。塗布の際はメーカーの説明に従い、接触時間を少なくとも1分以上確保し、塗布中および塗布後は適切な換気を行ってください。製品の使用期限を過ぎていないことを確認してください。家庭用漂白剤とアンモニアや他のクレンザーとを決して混ぜないでください。使用期限切れになっていない家庭用漂白剤を適切に希釈して使用すればコロナウイルスに効果があります。
●以下を混ぜて漂白剤溶液を作ります。
○水1ガロン(約3.8リットル)あたり漂白剤大さじ5(1/3カップ)
○または水1クォート(約1リットル)あたり漂白剤小さじ4
柔らかい表面(多孔性)
●カーペット敷きの床、敷物、ドレープなどの柔らかい(多孔性の)表面素材の場合は、目に見える汚れがあればそれを取り除き、そういった素材での使用が表示されている適切なクリーナーで洗浄します。
洗浄後:
○メーカーの指示に従い、必要に応じて適切に洗濯してください。可能であれば、洗濯物に対する適温設定で最も高い温度の温水を使用して洗濯し、完全に乾燥させてください。
■それ以外の場合は、COVID-19の原因ウイルスに対する使用について、上記EPA承認を受けた製品のうち、多孔質の表面素材に適した製品を使用してください。
電子機器
●携帯電話、タブレット、タッチスクリーン、リモコン、キーボードなどの電子機器については、目に見える汚れがある場合は除いてください。
○すべての洗浄・消毒製品について、メーカーの指示に従ってください。
○拭取り可能な電子機器用カバーの使用を検討してみましょう。
○製造元のガイダンスがない場合、タッチスクリーンの消毒には、アルコールを70%以上含むアルコールベースの拭取ペーパーやスプレーの使用を検討してください。液体が溜まらないように、表面を完全に乾燥させてください。
洗濯するリネン、衣類、その他のアイテム
●再利用可能な手袋を使用する場合は、その手袋は COVID-19 対策としての表面の洗浄・消毒専用とし、他の目的には使用しないでください。使用する洗浄剤・消毒剤については、製造元の説明書を読んでください。手袋を外した後はすぐに手をきれいにしてください。
○汚れた洗濯物を扱う際に手袋を使用できない場合は、必ず手洗いをするようにしましょう。
○できれば、汚れた洗濯物はバタバタと振らないようにしましょう。これを行うことにより、空気中にウイルスが飛散する可能性を最小限に抑えることができます。
○メーカーの指示に従い、必要に応じて適切に洗濯してください。可能であれば、洗濯物に対する適温設定で最も高い温度の温水を使用して洗濯し、完全に乾燥させてください。病人の洗濯物は、他の人の洗濯物と一緒に洗うことができます。
○表面についての上記ガイダンスに従って、衣類カゴの汚れを落とし消毒します。可能であれば、使い捨て(廃棄可能)または洗濯可能な内袋を敷くことを検討してください。
手指衛生およびその他の予防策
●同じ家に住む人は、手袋を外した直後や病人と接触した後など、こまめに手を洗い、石鹸と水で20秒ほど手を洗うようにしましょう。石鹸や水が使えず、手が目に見えて汚れていない場合は、アルコールを60%以上含むアルコール系手指用消毒剤を使用しても構いません。ただし、目に見えて手が汚れている場合は、必ず石鹸と水で手を洗うようにしましょう。
●同じ家に住む人は、仕事や家庭では、推奨される手指の衛星管理(手洗い)、洗っていない手で目、鼻、口に触れないようにすることなどの通常の予防を行わなければいけません。
○追加の手洗いが重要な機会は、次のとおりです。
■鼻をかんだ後、咳をした後、またはくしゃみをした後
■トイレを利用した後
■食べる前、料理の準備をする前
■動物やペットと接触した後
■介助を必要とする人(子供など)に、日常的な介助を行う前後
その他、考慮する点
●病人は、可能であれば自室で食事をしてください。使用済みの使い捨てではない食器類は、手袋をしてお湯で洗うか、食器洗浄機で洗う。使用済みの食器類を扱った後は、手を清潔にしてください。
●可能であれば、内側にビニール袋を敷いた、病人専用のゴミ箱を置きましょう。ゴミ袋を取り出したり、ゴミを処理したり、廃棄したりするときには手袋を使用してください。ゴミを扱ったり、捨てたりした後は手を洗ってください。
●ごみ処理の案内がある場合は、お住まいの地域の保健所に相談してください。
原文掲載日
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