NIH補助金減額の大統領予算案に反対、ASCO会長が声明

ASCO会長であるDaniel F. Hayes医師による声明

われわれは、米国国立衛生研究所(NIH)から60億ドルを削減するトランプ大統領の予算概要に強く反対する。NIH財政支出を20%近くも減額することは、わが国の既に脆弱な連邦政府の研究基盤を壊滅させ、がん予防、診断および治療の進歩を加速してきた生物医学に対する長年にわたる取り組みを打ち砕くものである。

がん治療における驚異的な進歩の最前線にある今、米国は、国民の数百万人に及ぶ致死性疾患患者とその家族を救う研究において、時代に逆行することはできない。米国の研究基盤を骨抜きにすることは、米国を第一にするのではなく、科学の進歩において諸外国の後塵を拝する事態に至らせるのは間違いない。歴史がある米国の研究投資を促進しないことは、医療効果、科学面における主導権および経済成長を危うくするものである。

米国臨床腫瘍学会(ASCO)は、削減案の否決、および、NIHと米国国立がん研究所(NCI)に対する連邦政府の補助金増額を議会に呼びかける。

われわれは、昨年6月に上院歳出委員会を通過したNIHへの財政支出341億ドルを含む2017会計年度支出法案の最終決定に向けて、国会議員と連携する用意をしている。さらにわれわれは、ボー・バイデンがん撲滅プロジェクトのための21世紀治療法案に含まれる資金に加えて、2018会計年度におけるNIH予算の大幅増額を含む予算方針を継続するよう、議会に呼びかける。

現在は、がん患者のための新規の治療および治癒方法の発見に向けた進歩を遅らせる時ではない。実際には、財政支援の頭打ちが10年以上続き、わが国の生物医学研究基盤は、現在の科学の可能性に対応するために、今後も持続的増加を取り戻さなければならない。

翻訳担当者 木下秀文

監修 辻村信一(獣医学/農学博士、メディカルライター)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

がん医療に関連する記事

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させるの画像

先住民地域のラドン曝露による肺がんリスクの低減を、地域と学術連携により成功させる

2024年ASCOクオリティ・ケア・シンポジウム発表の新研究ASCOの見解(引用)
「ラドンへの曝露は肺がんのリスクを高めますが、いまだに検査が行われていない住宅が多くあります。...
早期承認薬、5年後の確認試験で臨床効果を示したのは半数未満の画像

早期承認薬、5年後の確認試験で臨床効果を示したのは半数未満

AACR2024AACR2024米国食品医薬品局(FDA)が2013年から2017年の間に迅速承認を与えた46種類の抗がん剤のうち、5年以上経って確認試験で臨床効果が実証された...
抗がん剤不足の危機的状況をASCO副会長が議会で証言の画像

抗がん剤不足の危機的状況をASCO副会長が議会で証言

米国臨床腫瘍学会(ASCO)米国臨床腫瘍学会(ASCO)副会長および最高医学責任者Julie R. Gralow医師(FACP:米国内科学会フェロー、FASCO:ASCOフェロー)は、...
米国がん免疫療法学会 2023(皮膚、大腸、肺がん他):MDA研究ハイライトの画像

米国がん免疫療法学会 2023(皮膚、大腸、肺がん他):MDA研究ハイライト

MDアンダーソンがんセンター特集:微生物叢への介入、皮膚がんや転移性メラノーマ(悪性黒色腫)に対する新しいドラッグデリバリー法、肺がんやリンチ症候群の治療戦略など

アブストラクト:153...