がんリスクの遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けやすくする、オンラインでの新規ケア提供モデル
MDアンダーソンがんセンター
がんリスクの遺伝子検査は遺伝性がんの予防や治療の向上に役立つが、複数の研究によれば、遺伝学的ながんリスクの可能性があっても検査を受けない人も多い。Making Genetic Testing Accessible(MAGENTA)試験は、遠隔遺伝子検査を用いて遺伝性がん症候群の遺伝子検査を受検しやすくすることを目的としており、遺伝カウンセリングの省略が女性の苦痛レベルに影響するかどうかを調査した。Karen Lu医師が主導したこの研究では、遺伝子検査を受ける予定の女性3839人が、標準的な遺伝カウンセリングを受ける群と受けない群に無作為に割り付けられる前に、オンラインで情報(教育ビデオを視聴)を得た。本研究により、参加者全員の検査前カウンセリングを省略しても、また病原性変異のない場合に検査後カウンセリングを省略しても、苦痛レベルに有意差はないことが明らかになった。これらの知見は、遺伝子検査を低リスク集団にとってより便利で利用しやすいものにするケアの提供につながる新しいモデルを提案する。詳細はJAMA Oncology誌を参照のこと。
【MDアンダーソン研究ハイライト 2023/09/21】 特集:マイクロバイオームに関する洞察、KRAS阻害薬耐性を克服する標的、免疫療法に膠芽腫を感作する新規アプローチ、AMLの新薬など
テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究ハイライトでは、がんの治療、研究、予防における最新の画期的な発見を紹介している。これらの進歩は、世界をリードするMDアンダーソンの臨床医と科学者の垣根を超えた継ぎ目のない連携によって可能となり、研究室から臨床へ、そしてまた研究へと発見がもたらされる。
MDアンダーソンは、がん撲滅という自らの使命を遂行する中で、その原動力である優れた研究が果たす役割を理解し、がんによる負担を軽減するために、がん研究促進に向けた世界的な取り組みを訴える世界がん研究デー(9月24日)を支援する。
MDアンダーソンにおける最近の研究として、頭頸部がんに多い治療副作用に関連するマイクロバイオームの特徴の同定、KRAS阻害薬治療耐性を克服するための新しい標的、低リスク集団による遺伝子検査受検の敷居を低くする新しいモデル、 腫瘍微小環境を再プログラムし免疫療法に膠芽腫を感作するエピジェネティック標的、乳がん手術を回避できた女性の前向きな経験、腸内マイクロバイオームと黒色腫(メラノーマ)の進行との関係についての洞察、再発または難治性の急性骨髄性白血病に対するvibecotamab[ビベコタマブ]の第1相試験からの良好な結果、などがある。
- 監訳 下村昭彦(乳腺・腫瘍内科/国立国際医療研究センター 乳腺腫瘍内科)
- 翻訳担当者 奥山浩子
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- 原文掲載日 2023/09/21
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