米国で65歳以上の癌サバイバー急増の予測

NCIニュースノート

米国では癌罹患後も生存を続けている高齢者が大幅に増加する見通しであることが、2011年10月6日付けのCancer Epidemiology, Biomarkers & Prevention誌の電子版で発表された。米国国立癌研究所(NCI)の研究者による調査では、2010年から2020年の間に65歳以上の癌サバイバーは42%増加し、約800万人から1,100万人以上に増えると予測した。研究者は新規診断患者や長期生存者を含む高齢の癌サバイバー人口が顕著に増える理由として、米国の人口高齢化を挙げている。また医療従事者にとって、こうした年齢層の患者の治療には高齢者特有の懸念や課題もあると研究者は警告した。

この調査では、NCI癌生存者オフィス局長のJulia Rowland博士をはじめとする研究者が、NCI Surveillance, Epidemiology and End Results Programからのデータを分析した。国家癌法(National Cancer Act)が公布された1971年には、癌サバイバー人口(65歳以上だけでなく、全ての癌サバイバー)は約300万人だったが、最新の統計である2008年には1,200万人近くまで増加した。2008年からの癌症例を調べると、癌サバイバーの60%は少なくとも65歳に達しており、この割合は2020年までに63%に増加する見通しとなる。著者らは、ほとんどの癌において加齢が癌発症における最も重要な単一リスク要因であり、65歳以上で初めて癌診断を受ける例が症例の半数以上を占めるという。こうした傾向の例外は乳癌と卵巣癌で、この2つの癌では大半の患者が65歳未満で診断を受けている。今日では癌サバイバーで最も多く見られるのは女性の乳癌(22%)、前立腺癌(20%)、大腸癌(9%)であり、肺癌サバイバーは全ての癌生存者の中で3%を占めるにとどまっている。

翻訳担当者 片瀬ケイ

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