2007/11/20号◆NCIディレクター報告「研究資源と柔軟性を唯一併せ持つNCI-フレデリック」
同号原文|
NCI Cancer Bulletin2007年11月20日号(Volume 4 / Number 30)
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◇◆◇NCIディレクター報告◇◆◇
情報源と適応性を唯一併せ持つNCI-フレデリック
NCIの二次的施設を超えた存在であるNCI-フレデリック(NCI-Frederick)は、生物医学研究に関する唯一のリソースであり、わずか36箇所の連邦研究開発センター(FFRDC:Federally Funded Research and Development Centers)の1つでもある。これらの施設は、政府に属するのではなく、連邦政府による支援のもと、大学や非営利団体によって運営されている。また、国営企業と民間企業の橋渡しをすることにより、米国内における緊急な研究ニーズをいくつか満たしている。FFRDCはさまざまな防衛問題や国家安全保障問題を研究しているが、FFRDCの中で唯一NCI-フレデリックだけが生物医学研究のみに専念している。
NCIキャンサーブレティンにおける今回の特集記事には、NCI-フレデリックに対する賞賛が述べられている。なぜならば、NCI-フレデリックは30年以上もの間、NCI内外の研究者たち、ならびにその他のNIH研究所や政府機関に対し、重要な科学知識や最新技術の開発を提供してきたからである。
NCI-フレデリックは多くの最新技術を介して、研究成果を患者用の治療に速やかに転換させようと努めている。NCI-フレデリックには、臨床試験用の規則である厳格なFDA「医薬品等の品質管理基準(GMP)」を満たす原薬を迅速に開発する能力がある。これは、新たな薬剤、ワクチン、およびその他の治療法に対する薬事承認を得る上で役立つ専門技術である。NCI-フレデリックはこれまでに300件以上の臨床試験に関与しており、これらにはリンパ腫に対するワクチンの試験、子宮頸癌を予防し得るワクチンの試験、および国内の輸血用血液をAIDSウイルスによる汚染から保護する検査の試験などがある。
また、NCI-フレデリックは、外部で実施される研究も支援している。例えば、2005年および2006年には、臨床試験から組織検体を150万以上入手し、200箇所以上の研究施設にいる1,100名以上の研究者に新規の研究動物を100万個体以上提供した。
NCI-フレデリックの技術(先端画像法からナノテクノロジー研究、そして大型スーパーコンピュータまで)は、新興の最新技術提携イニシアチブ(ATPI:Advanced Technology Partnership Initiative)の中心にある。この公共・民間提携によって、NCI-フレデリックが新技術や新研究概念のための試験場となる可能性がある。研究者らは、フレデリック内における最新式技術の研究団地を介して、数年以内にATPIを拡大させようと考えている。
NCI-フレデリックは、熱心な癌運動支持者や議員たちに感謝の意を表している。そうした人々の中には、慈善家Mary Lasker氏、上院議員Charles Mathias氏(共和党、メリーランド州)、癌制圧に関する顧問団体「Panel of Consultants on the Conquest of Cancer」代表Benno Schmidt氏がいる。1971年の米国癌法に関する審議中、同氏らはメリーランド州のFort Detrick軍事基地内に癌研究施設の建設を強く求めた。1975年に、同氏らの希望によってFFRDCという指定を受けることが実現化した。この特別な指定があったからこそ、われわれは過去30年間に渡って癌に対する進歩を、人命を救う発見と同じスピードで成し遂げてこれたのである。
Dr. John E. Niederhuber
Director, National Cancer Institute
(* NCI-フレデリックについてのその他の紹介記事は原文を参照)
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斉藤 芳子 訳
Snowberry 校正
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